バランスではなく「ワークライフブレンド」を目指すべき理由

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サイドハッスル(副業)と柔軟な働き方が広がる現代では、仕事とプライベートの境界線が曖昧になっている。これにより、ワークライフバランスの概念はさらに達成しづらいものに思える。
実は、人々が在宅勤務や複数の副業プロジェクトを始めるはるか昔から、ワークライフバランスは達成が難しいものだった。ワークライフバランスは、意識的・継続的な努力が必要で、万能な解決策が存在しないからだ。

そのため、会社や従業員は、他の視点からこの点に取り組まなければならないのかもしれない。ソフトウエア企業のアルティメット・ソフトウエア(Ultimate Software)のチームは、従業員グループを調査した結果、新たな概念を発見した。

従業員の大部分はワークライフバランスを達成できていないが、代わりにプライベートですべきことを考慮してワークライフの「ブレンド」を目指していることが分かったのだ。それは、4時に退社して子どもを家に連れ帰ること、職場の机で病院の予約を入れること、昼食休憩の時間にドライクリーニングを取りに行くことかもしれない。そのどれであるとしても、こうしたシナリオはこれまでとは異なるより人間的な働き方を提示している。

私はこの点に関して見識を深めるため、同社のキャスリーン・パイ人材担当副社長を取材した。

──パイさんにとって、ワークライフブレンドは何を意味していますか? また「ワークライフバランス」という言葉が捉えきれていない点は何でしょう?

ワークライフバランスは、仕事とプライベートにそれぞれ特定の(平等な)時間を捻出すべきだということ、そしてこの2つはほぼ、あるいは全く交差すべきでなく、交差している場合は非生産的あるいは不健全であるという考え方を示唆している。ワークライフブレンドはそうではなく、特定の時間やエネルギー、焦点を仕事かプライベートの一方にだけ必ず向ける必要はなく、2つを健全に、そして安定して組み合わせることで最終的に充実感を得られることを示している。

境界線はもう少し曖昧、あるいは混じり合っているが、最終的にはたいてい平等になる。仕事で1時間余計に過ごす日があれば、次の日の勤務時間は短いかもしれない。また、子どもを学校に迎えに行くため職場を早めに出る代わりに、緊急の要請があれば対応できる状態にしているかもしれない。

現代の24時間365日「常にオン」の社会では、より厳しいワークライフバランスや職場から完全に離れることが改めて求められている。ワークライフブレンドは、妥協や犠牲、どちらかを選ぶことなどなしに仕事からもプライベートからも離れる方法を探すことを指している。
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翻訳・編集=出田静

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