キャリア・教育

2019.10.29 11:30

結婚、出産を経て、独立。フリーアナウンサー吉田明世の「覚悟と責任」

フリーアナウンサーの吉田明世


自分の欲のために無理をして、お腹の中にいる子どもに何かあったら、一生後悔してもしきれない。これから自分の人生は、自分のやりたい仕事を全うする人生ではなく、夫や子どもと二人三脚で生きていく人生になる。それを実感したときに、TBSのアナウンサーとしてキャリアを積んでいくのではなく、フリーのアナウンサーとして、自分の裁量で仕事をしていく。そんなキャリアの歩み方をしてもいいのではないか、と思ったんです。
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そんな考えの変化から、今年1月にTBSを退職し、2月からフリーのアナウンサーとして活動させてもらっています。フリーになって8カ月ほどですが、仕事の幅は広がったなと感じています。TBS時代もドラマに出演させてもらうなど、「これもアナウンサーの仕事なのか」と驚くような仕事もありましたが、その幅がさらに広がりました。

もちろん、フリーはキャリアを自由に選択できる一方で、自分の力で食べていかなければいけない厳しさもある。その点では、TBS時代とは違った不安を毎日感じています。

会社員だと子どもが熱を出したとき、私の代わりに緊急で対応してくれる人がいるのですが、フリーになったら「今日、ちょっと仕事に行けません」と急には言えない。自由であるからこその責任の重さは日々、感じていますが、フリーになる決断は間違っていなかった、と思います。
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アナウンサーであり、母親だからこそ出来た新たな夢

いま、私がすべきことは子どもの成長を見守ること。仕事もすごく楽しいですし、やりがいも感じていますが、まずは子どもの成長を見守ることが第一。そこにプラスして仕事をさせてもらっている状態なので大変ですが、充実感を味わってます。

フリーになってから、家族でお出かけする約束をしている日は仕事を入れないようにするなど調整もできるので、家族との時間をつくれるようになりました。

今後も、家族との時間を大切にしながら、テレビやラジオの仕事を引き続きがんばっていきたいです。また子どもを妊娠して出産する前に保育士の資格を取得したので、将来的にはそのスキルを生かしつつ、いま絵本の勉強をしているので、絵本の専門士として何か活動できたらいいなと思っています。


吉田明世のインスタグラム(@akiyo0414)より

中学生のときに一度、保育園のお手伝いをさせてもらったことがあるんです。当時は子どもたちのお世話が本当に大変で……。人の子どもを預かる大変さ、保育現場の厳しさを実感して、自分は保育士にはなれないと思いました。

それで、アナウンサーという道に進んだのですが、アナウンサーとして培ってきた“声を使う”という強みを生かして、子どもたちに絵本の読み聞かせができるんじゃないかな、と。アナウンサーのキャリアを歩み、母親になった私だからこそできる夢が新たにできました。

私は声を使うことが好きなので、いつかはナレーションの仕事もしてみたいですね。過去に『サンデージャポン』のドキュメンタリー企画でナレーションを務めたことがあって。そのドキュメンタリーは心臓病を患っている3歳の子どもに密着するというもので、寄付金を集め海外で手術するしか治療法がなかった。

そのVTRのナレーションを担当させてもらったのですが、VTRを見た前澤友作さんが寄付を呼びかけるツイートをしてくれて、寄付金が集まったんです。自分がナレーションとして携わったVTRが多くの人に伝わり、世の中を動かす経験をして、すごく感動したので、もう少し力をつけたらナレーションの仕事もできたらいいな、と思います。




吉田明世(よしだあきよ)◎1988年生まれ。2018年5月に第1子を出産。TBSのアナウンサーを経て、19年2月にフリーとなり、現在は『THE TRAD』(TOKYO FM毎週月曜~木曜15時~)、Amazonプライムビデオ『プロ野球 そこそこ昔ばなし』に出演中。

文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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