テクノロジー

2019.10.26 08:30

米国は「仮想通貨で中国に敗退する」、ザッカーバーグの主張


このセクションの最後で、ザッカーバーグはCalibraとリブラを区別した上で、ウォレットユーザーのデータを第三者に販売しない方針を明確にした。また、リブラがグローバルな金融競争における米国のツールになることを改めて強調した。

「米国がこの分野をリードしなければ、他国がするだろう。他国の政府や企業は、米国と同じ規制制度や透明性に対するコミットメントを持たずに実行するかもしれない」とザッカーバーグは述べた。

第3と第4のセクションでは、主に2つの点が強調された。1つは、公民権を守るタスクフォースの設立など、フェイスブックが最近行ったポジティブな取り組みをアピールすることだ。2つ目は、差別対象となることが多い女性やマイノリティに焦点を当てたことだ。これらの層は、リブラのターゲットユーザーでもある。

結論のパートでは、規制当局の支持が得られるまではリブラの発行を遅らせる姿勢を改めて示したが、議員らの懸念を払しょくすることはかなり困難だ。先週初めにはブロックチェーンに関する21の法案が下院で審議されていたが、10月19日にはフェイスブックの取り組みを阻害することを目的とした3つの法案が提出された。

テック企業を金融から排除する法案

Value TechnologyのCEO、Jason Brettによると、「Keep Big Tech Out Of Finance Act(ビックテックを金融から排除する法案)」のアップデート版は、フェイスブックを仮想通貨から排除することが主な目的だという。

また、「Stablecoins are Securities(ステーブルコインを証券に分類する法案)」は、ジェミナイやサークル、コインベースなど、リブラとは異なる資産で裏づけられたステーブルコインを既に発行している企業にも影響を与える可能性がある。さらに、「To Prohibit The Listing of Certain Securities(特定証券の上場を禁止する法案)」は、リブラのようなステーブルコインがキャピタルマーケットに参入することを防ぐことが目的だとBrettは指摘する。

「下院は、ドルに影響を与えるリブラを規制する法案を通そうとしているが、それらの法案はフェイスブック以外のテック企業にも大きな影響を及ぼすことになる。3つの法案が通れば、大手テック企業は仮想通貨を発行することができなくなり、ステーブルコインは証券として扱われる。これまでステーブルコインで利益を得てきた企業は、株式市場から退場を求められる危機に直面する」とBrettは述べた。

編集=上田裕資

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