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地球温暖化の防止やカーボンニュートラルの実現に必要なコストは、様々な機関が試算しているが、米国の投資銀行大手「モルガン・スタンレー」のアナリストらが新たな予測を発表した。それによると、5つの主要エリアで炭素排出ゼロを実現するために、2050年までに50兆ドル(約5400兆円)の投資が必要になるという。

再生可能エネルギー分野に14兆ドルの投資を行うことで、2050年までに世界のエネルギー消費の80%を賄うことが可能になるとモルガン・スタンレーは試算した。今後は太陽光エネルギーの低価格化が進み、この分野で最も急速に成長するという。

温室効果ガスの削減に向けて、EV(電気自動車)の重要性も高まっていく。EVへの切り替えを大規模に進める上で、新たな工場建設や充電インフラの構築は必須であり、11兆ドルが必要になるという。EV車両の総数は2050年に9億5000万台近くに達する見通しという。

モルガン・スタンレーによると、石炭火力発電所から排出される温室効果ガスを削減するための唯一の実行可能なオプションは、二酸化炭素の回収及び貯蔵であり、この分野には2.5兆ドルのコストが必要になるという。

発電所や自動車、その他の産業で用いるクリーンなエネルギー供給の実現に必須となるのが水素だ。水素の製造を拡大し、十分な発電キャパシティを実現するために、20兆ドルの累積的な投資が必要になる。

今後の輸送分野で主要な役割を担うのが、エタノールなどのバイオ燃料であり、将来的には航空機での利用も想定できる。バイオ燃料分野には2050年までに2.7兆ドルの投資が必要とされた。

モルガン・スタンレーの分析によると、炭素排出を削減しパリ協定で定められた基準を満たすために、世界で毎年、535億炭素トンの二酸化炭素を削減する必要があるという。

気候変動に対する適切な対処を行わず、地球の平均気温が2℃以上、上昇した場合、世界のGDPに与える打撃は、2100年までに10兆ドルから20兆ドルに達するとモルガン・スタンレーは予測した。

将来が有望な企業は?

モルガン・スタンレーは、今後のゼロ・カーボン技術領域への投資増大の恩恵を受ける複数の企業名を開示した。再生可能エネルギー分野では、サンパワーやGE、華能新能源(Huaneng Renewables)らが有望企業に挙げられた。

EV分野ではテスラをはじめ、フォルクスワーゲンやトヨタらが長期的には有望とされた。さらに、パナソニックやアルベマールらもリチウム技術の主要プレイヤーに挙げられた。

二酸化炭素の回収及び貯蔵分野では、ブルームエナジーやエクソン、シェブロン、BPらの名が挙がった。水素分野ではエアリキードや、シーメンス、アルストムが有力とされた。さらに、バイオ燃料分野では、ネステやサン・マルチーニョ、シェル、バレロ・エナジーらが優位な地位に立っている。

編集=上田裕資

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