ビジネス

2019.10.26

共同創業、成功の9割は「運」。ただ共通の価値観は持っておくべき|面白法人カヤック 柳澤大輔

株式会社カヤックCEO 柳澤大輔


──難しいですね。なかなか再現性の無いことのような気もします。

ひとつ測る方法があるとすれば、「この人と一緒にいると、楽しいことがいつも起こる」といった事象を根拠にすることではないでしょうか。

好きとか嫌いとか、色々な感情があると思うんですけれど、それは時と共にどんどん変わっていくものです。なので「一緒にいる時に、普段よりもいいことが起こる」とか、そういう自分の感情ではないことで判断するしか無い気がします。

私たち3人も出会った時からステージが変わってきていますが、3人の間に起こる事象に変化はないですね。3人が対等だし、誰かが得して誰かが損するという一方的な感じでもない。友人同士で起業するというのは、これだけで一大テーマとして話せるほど難しいことですが、私たちの場合は3人の関係性に変化が無いことが上手くいっている要因かと思います。

創業時から「面白法人」という言葉に蓄積される価値

──3人が代表ということに加えて、起業した当初から会社に「面白法人」と名前をつけているのは御社の特徴を表しているように思います。どのような経緯でこの名前を決められたのでしょうか?

「面白法人」をどうやって決めたのかまでは正確には思い出せないですね。決まった経緯まではどこにも書いていないと思います(笑)。

ただ想いとしては、会社という堅いものをもっと面白く多様にしていこうという価値観を表現したいとは最初から思っていました。この価値観についても3人の代表が創業時から一致している部分だと思います。




(以下、公式HPより引用)

会社もひとりの人であり、ひとつの人格を持っている。カヤックをつくるときに、会社というものについて調べていて知ったことです。であれば、どんな人格の会社にしようか。

よしっ!面白い人にしよう。

こうして、1998年の創業時から、自らを「面白法人」と称することになりました。カヤックをカヤックたらしめているもの。それがこの「面白法人」という言葉です。


ですから、ユニークな働き方だったり、サイコロを振って給与を決める「サイコロ給」だったり、「面白法人」という言葉から自然と色んなことが生まれてきました。言葉ありきではありますが、この言葉があったから今の価値観を持つ会社になったと思います。

──最初は直感で決めた名前でも、会社の歴史がそれに沿って積みあがっていくにつれて、言葉に重みが増していっているということでしょうか?

そうですね。

この言葉に沿って様々な制度から採用のキャンペーンにいたるまで実施されていくので、価値が蓄積されていくというか、言葉に貯まっていくという感覚はあります。

──現在は創業メンバーの3名で経営されている御社ですが、「次世代の人達の漕ぐカヤックという船が、今後こうなっていってほしい」というような想いはありますでしょうか?

面白法人という言葉のおかげで「言葉を解釈して、突き詰めて、何かをしよう」という文化は根づいていると思うんです。

言葉の解釈の仕方や「これがアリかナシか」の取捨選択は、経営者や時代によって当然変わってくると思います。でも、考えの指針となる「面白法人」という言葉は変わりません。私たちは世の中に新しい価値を生み出し続けない限り、必要のない存在になってしまいます。「面白法人」という言葉に基づいて「自分なりの面白さとはなんだろうか」を常々考えて行動していける組織になれればいいなと思ってます。

連載:起業家たちの「頭の中」
過去記事はこちら>>

文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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