ビジネス

2019.10.27

ボルボが「初のEV車両」で見せたサステナビリティへの意欲

ボルボCEOのホーカン・サムエルソン(Photo by Kevork Djansezian)

電気自動車(EV)は排ガスを削減するが、生産工程で大量のエネルギーを消費する。ボルボは工場のオペレーションも含め、CO2排出量を40%削減すると宣言しており、その第1段階として同社初のEV車両のコンパクトSUV「XC40 Recharge(リチャージ)」をリリースした。

同社のホーカン・サムエルソンCEOはロサンゼルスで記者団に対し、「2025年までにCO2を40%削減し、2040年までに100%カーボンニュートラルを達成する」と述べた。

この目標を実現するためには、欧州や中国、米国にある工場で再生可能エネルギーの使用率を高めると同時に、鋼鉄やアルミニウム、プラスチックの再利用や、使用済みリチウムイオン電池からコバルトを回収することなどが求められる。

「我々は、付加的にサステナビリティを導入するのではない。それが我々に期待されることであり、非常に良いことだから取り組むのだ。これまで、ボルボは高い安全性能を実現して成功をおさめたが、今度はサステナビリティによって成長を加速させ、より強靭な会社になることができる」とサムエルソンは語った。

サムエルソンが記者会見を行ったロサンゼルスは、慢性的な渋滞や排ガス問題が社会問題となっており、EVと再生可能エネルギーの市場としては全米最大規模だ。カリフォルニアは、無公害車の購入助成制度が最も手厚い州であり、EV用充電施設も急速に増えている。しかし、ボルボが他の州でEVの販売を伸ばすことは容易ではない。

調査会社J.D. Powerは10月16日、一般消費者がEVを購入する意欲を示す指数「Q3 Mobility Confidence Index Study」を発表した。それによると、EVの購入意欲は100点中55点の「ニュートラル」だという。消費者のEVに対する主な懸念点は、ガソリン車に比べて高い価格と、充電施設の数となっている。自動運転車の購入意欲はさらに低く、100点中36点だった。
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編集=上田裕資

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