ビジネス

2019.10.26

垂直農法企業と提携する英国の大規模店が増加

Photo by Aisyaqilumaranas / Shutterstock.com


インファームは、2013年に独ベルリンで創業された垂直農法のスタートアップで、2019年6月にはシリーズBラウンドで1億ドルの資金を調達した。ドイツのスーパーマーケット「メトロ(Metro)」など、世界各地の店舗等に500か所以上の水耕栽培モジュールを設置。配送センターも展開しており、栽培する苗の数はひと月20万本に上る。

栽培量の多さと、クラウドによる制御システムによって、インファームが扱うデータ量は膨大だ。「栽培方法は週単位で改良されている」とミカエリは言う。

インファームの公式サイトによると、同社の垂直農場では、露地栽培に比べて水の使用量が95%少なくて済む。必要なスペースは露地栽培のわずか0.5%で、化学農薬は一切使わない。運送の必要性も90%減り、肥料は75%削減できる。

M&Sとの提携は、インファームが目指す、サプライチェーンを排除したいという目標のモデルだ。「私たちは食料品のサプライチェーン全体を、はじめから終わりまで定義し直している」とミカエリは語る。

「郊外に大規模な農場をつくって、そこから農作物を出荷するのではなく、農場そのものを都市の至るところに分散させ、栄養豊富な農作物を消費者が店頭ですぐに購入できるようにするのが、私たちのやり方だ」

イギリスのほかの小売店も、垂直農業にリソースを注ぎ込んでいる。オンラインスーパー「オカド(Ocado)」は2019年6月、垂直農業を手がける企業に1700万ポンドを投資すると発表。高級百貨店「ジョン・ルイス(John Lewis)」も2019年3月、垂直農業企業「LettUs Grow」の協力を得て、店内でサラダ用野菜を栽培する計画があることを公にした。

インファームはさらに、イギリスでのプレゼンスを拡大しながら、現地の農家と緊密に連携していきたい考えだ。「地元の生産者や農家は、現在もこれからも、各コミュニティに食料品を供給するうえで欠かせない存在であると確信している」とミカエリは述べる。「みんなで団結し、問題の解決にあたっていけたらと思っている」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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