体験こそがイノベーションの種となる
DD-Labのチーフディレクターである津田佳明さんは、以下のように話します。
「実際に何が起こるかわからなかったが、人の温かさ、そしてイノベーションの種を見つけることができました。ビル街にある学校の中だと、あたかも正しい情報を得ているような錯覚に陥りますが、匂いや手触りを感じる体験を増やしていきたいと改めて感じました」
私自身、国内、海外を問わずよく旅行をするのですが、鰻のつかみどりのように、外国では体験できないようなことが日本の地方にはまだまだたくさんあると感じています。体験をすると、人はそれを鮮明に記憶します。特に香りや感触は、その時に感じた思いまで蘇らせてくれます。
鰻を見る高校生たち
地域と連携したANAの体験型教育プロジェクトは、人と人、地域と地域をつなぎ、物理的な交流だけではなく、心と心の交流にも貢献するものとなるのではないでしょうか。
情報化が進み世の中の流れが予測不可能な時代と呼ばれる中で、先生から生徒へ一方通行で教えるような暗記が中心の現代の教育では、突然あらわれる課題や難問に対応できません。
2018年に受講したスタンフォード大学の「Innovation Master Series」では、即興で新しい製品をつくるというレッスンを何度も行いました。
起業家育成で有名な米国のバブソン大学でも、社会では何が起こるかわからないことを前提にプログラムが組まれています。私たち日本人は、まだまだ正解を求めすぎなのかもしれません。
地方での大自然という不確実性の中から得られる学びにこそ、新しい動きや大きな変革を生みだすための知恵があることを、私たちはもっと意識していかなくてはならないと思います。