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2019.10.27 12:00

米国で人気のトヨタ RAV4 よりマッチョになって日本にカムバック


僕が乗ったハイブリッド仕様は、178psを発揮する2.5リッターエンジンとモーターを組み合わせている。具体的に言うと、フロントのモーターは120psと202Nmのトルクで、リアモーターは、54psと121Nmのトルクの持ち主なので、意外に力強い。

WLTCモードの燃費は20.6km/Lになっているので、この手のSUVにしてはかなり良い。リアルワールドの走りでは、16〜18km/Lを記録している。

今回はオフロード走行は試さなかったが、オンロード走行は極めて快適だ。街なかでゆっくり走っている時はEVモードが作動し、アクセルを丁寧に踏むと電気モーターだけで走る。静粛性は全体的に旧型より良くなったと言えるが、ロードノイズ、モーターの音やエンジン音も全部、多少キャビンで漏れるので、少し慣れが必要だ。

走る条件に応じてエンジンが作動してモーターをアシストするから、十分なパワーをもたらす。ボディーは、特に北米市場を狙ったピクアップ・トラックのようなおおらかさや重厚感が感じられる。ドライブモードは、「ノーマル」「エコ」、そして「スポーツ」が用意されているが、普通のドライバーは、あまりこのスイッチを気にせずにノーマルで走行すると思われる。

ハイブリッド車には新型「E-Four」を採用している。モーターで駆動する後輪のトルクを強化したもので、前後輪トルク配分を100:0から20:80まで調整が可能になっている。ワインディングでもフラフラせずにキビキビと走ってくれるが、コーナーではステアリングホイールを切ってから多少遅れてターンインする感じがある。



試乗したハイブリッド4WDモデルの上級グレードは381万円。オフロードを走る本気の人は、別のダイナミック・トルクベクタリングAWD仕様がおすすめだ。それぞれのユーザーのニーズに応える4WDシステムまで用意するメーカーが少ない中、僕が乗った穏やかなE-Fourと、激しいトルクベクタリングAWDがあるから、客層の幅は広がるだろう。

トヨタが市場の「SUVが欲しい」と言う声に応えて、また中型SUVセグメントのトップに立つほどのRAV4を出した。ルックス、走り、安全性、環境性能、乗り心地の全てが非常に高いレベルに仕上がっている。さて、どんどん競争が激しくなるSUV市場で、RAV4はどこまで戦えるか。期待しよう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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