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2年目を迎えたソニー・ミュージックエンタテインメントのアクセラレーションプログラム「ENTX(エンタエックス)」。これまでアーティストやクリエーターをパートナーに数々のヒットを生み出してきた同社は今、起業家をパートナーに新しい価値を創造しようとしている。


門戸を開いた幅広い募集カテゴリー

アクセラレーションプログラムとは、大手企業が有望なスタートアップを選出して行う成長支援のことだ。昨今、市場の変化が早まるなか、既存サービスにとどまらないイノベーションを起こすにはスタートアップの存在は欠かせない。そこで大企業による育成に注目が集まるのだ。

2年目となったソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)によるアクセラレーションプログラム「ENTX(エンタエックス)」。

昨年度の採択企業である株式会社レアリスタは、訪日外国人旅行者に役立つ情報を動画で紹介するサービス「DIVE JAPAN」を提供し、株式会社SuperDuperはユーザー同士が食事した内容や順序をシェアできるフードプレイリストサービス「Satisfood」を開発。これらの企業は、すでにSMEと資本業務提携を実施しており、着々と成長している。これらの採択企業を見て何か気づかないだろうか。

同社の最大の強みである“音楽”や“アニメ”といった資産と、そう直結はしていないのだ。実は、同プログラムでの募集カテゴリーは、スポーツ、飲食、旅行、ライフイベント、居住空間、教育、ファッション、広告・マーケティング、ヘルスケア、コマースと幅広い。音楽を中心にしたコンテンツビジネスでのヒットづくりやスター発掘もしているが、なぜ、あえて領域を広げているのだろうか。

ちなみに、同プログラム参加のメリットは多い。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏をはじめとした外部メンターや、ソニーミュージックグループ社員メンターによるメンタリングをはじめ、同社オフィスやWeWork Iceberg、BASE Qでの活動やネットワークへの参加が可能。デモデイ最優秀賞に100万円、優秀賞に50万円の賞金が授与される。その後は、ビジネス化に向けたPoC、事業・業務提携、出資の可能性を探ることになる。

浸透しているイノベーションのマインド

なぜ、SMEがアクセラレーションプログラムなのか。同社の歴史をひも解くとその理由が明らかになる。

1968年にソニーと米CBSとの合弁会社として、そして日本における資本自由化の第1号企業として、CBS・ソニーレコードという名称で設立された同社。設立当初はレコード会社だったが、早くから通販やマネジメント、キャラクターといったビジネスにも着手しており、当時のレコード会社では考えられないような多角化経営を積極的に推進。チャレンジ精神が社内に横溢していたという。



成り立ちや多角化経営のDNAはいまでも残っており、音楽レーベルや音楽出版、アーティストマネジメントといった音楽ビジネスの領域にとどまらず、アニメやゲーム、キャラクターといったビジュアル・キャラクタービジネスも実施。また、ライブホール運営やイベント興行、グッズ制作、さらには製造・物流といった業界を下支えするさまざまなソリューションビジネスなど、“エンタテインメント”を軸に幅広く事業展開している。

つまり、「音楽」などのコンテンツが産業クラスターを形成し、多くのビジネスを派生させているのだ。

アクセラレーションプログラムの意義について代表取締役社長の村松俊亮はこう教えてくれた。

「当社のプログラムは、我々がこれまでに培ってきたエンタテインメントビジネスのノウハウ・ネットワークの提供が最大の特徴。社会の問題解決を目指す起業家をエンタテインメントの力で支援することで、新たな価値創出を目的としています。最も期待していることは、『才能ある未来のスター経営者』との出会い。これまで、我々は、数多くの『アーティスト=スター』を発掘し、そこに投資し、ヒットを生み出してきました。いわばエンタテインメント領域における投資会社といってもいいかもしれません。新しいビジネスも『スター起業家』から生まれるのだと思います。今回我々が投資したいと思うのは、例えば誰も思いつかないような斬新な発想をする人、そして、その発想を具現化する行動力のある人など、才能にあふれる起業家です。そうした方々の才能とエンタテインメントの力をかけ合わせて、一緒に新しい価値を創造していきたいと考えています」

SMEにとって起業家とのパートナーシップは、新たな挑戦ということになる。だが、同社のビジネスの根幹は、あらゆるスターの発掘とヒットコンテンツ/IP(知的財産)の創出。社内にこの文化が醸成されているからこそ、起業家との並走に可能性を感じることができるのだ。

ダーウィンの進化論が明らかにした自然淘汰の仕組み「生き残れるのは、変化に対応できる者」のように、エンタテインメントのデジタル化が進むなか、SMEも時代に合わせた変化を試みているといえよう。

エンタテインメントの力でさらなるイノベーションを



「ENTXは社内にいい影響を与える」ENTXを率いる事業戦略グループ・古澤純はそう語る。

「我々が展開しているエンタテインメントビジネスは、音楽やアニメ、ゲームといったコンテンツを中心にしてきましたが、エンタテインメントにはもっと大きな可能性があるのではないかと。しかもこれからは多様性の時代。ENTXではカテゴリーを制限しないことで、さまざまな分野でもイノベーションを起こしていきたいです」


村松俊亮◎株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント 代表取締役社長 COO。1987年CBS・ソニーグループ入社。音楽レーベル代表を経て、2008年より執行役員としてレーベルビジネスやビジュアルビジネスの代表を歴任。今年4月から現職。

古澤純◎株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント事業戦略グループ チーフマネージャー。1995年新卒入社後、知財部門、制作販促部門、デジタル部門、人事部門等を経て現職。

Promoted by ソニー・ミュージックエンタテインメント / text by Forbes JAPAN BrandVoice Studio / photographs by Miho Noro

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