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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介


試行錯誤を繰り返すがうまくいかない日々が続く。しかし、ある試行によりブレイクスルーが訪れた。高校生のハンドボールの全国大会の決勝を配信したところ、なんと延べ10万人にリーチしたのだ。  

地方紙ですら取り上げないマイナースポーツの試合に、なぜこれだけのユーザーが集まったのか。「子どもの試合を応援したい親や、母校の試合を観たいOB・OGたちの強い潜在ニーズがあったからです」と尾形は語る。働く親は平日に行われる学生の試合に足を運べず、全国に散らばったOB・OGは地方まで観戦に行く時間がない。速報もTwitterなどのSNSに限られる。だからこそ、リアルタイムでマイナースポーツの速報中継を行い、昼休みや仕事の合間に経過を知れるPlayer!は、彼らのニーズを満たす。そして高い人気とPV数を獲得したのだ。マイナースポーツの情報発信に注力し始めたPlayer!はユーザー数を着々と伸ばし、現在の月間利用者数は300万人を突破。ユーザーの59%が24歳以下で占められる、唯一無二のスポーツコミュニティーが形成された。

速報データは瞬間の価値を超え、スポーツの未来へつながる

Player!の配信する速報データは、瞬間の興奮を共有できるだけではない。未来のスターが活躍した軌跡を残せるのだ。例えば未来の本田圭佑が高校サッカー選手権で活躍した様子や、ユーザーの盛り上がりを数十年後に振り返ることができる。ストックされ続けるデータの扱いを尾形に聞くと、スポーツの未来を真しん摯し に考える姿勢がうかがえた。「価値化することを考えていますが、データ販売で収益化するつもりはありません。将来はデータを民主的にシェアし、誰でも活用できるようにしたい」。  

Player!が開拓する学生・マイナースポーツのポテンシャルは大きい。例えばアメリカの大学スポーツの市場規模は約1兆円。しかし日本では算出されていないほど市場規模は小さい。アメリカと、まだまだ伸びしろのある日本の差は何か? ひとつがマネタイズの仕組みだ。これは広告収益やユーザー課金のビジネスを整えることで、差が埋まると考えられる。もうひとつがマイナースポーツを楽しむ文化だ。文化の形成について尾形は、強い意志を感じる眼差しで語った。「スターバックスがコーヒーを飲みながらPCで仕事するカフェの文化をつくったように、ひとつの事業が新しいライフスタイルをつくることがある。僕らはあと10年で、マイナースポーツの感動を共有する文化をつくるつもりです」。

※この度、Forbes JAPANは初めてとなるスポーツビジネスアワードを開催。業界の第一線で活躍するアドバイザーの協力を得て、スポーツの新たな可能性を引き出したベスト・スポーツビジネスの取り組みを5つのカテゴリーごとに選んだ。その栄冠に輝いた5組にインタビューした記事を2019年10月26日から順次公開する。

「Forbes JAPAN スポーツビジネスアワード」特設ページ >>


尾形太陽◎早稲田大学法学部卒。大学卒業後ソフトバンクへ入社。年間1位の営業成績を上げ入社11カ月で退職。2014年にookamiを創業。2015年4月「Player!」をリリース。

文=田中一成 写真=宇佐美雅浩

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