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2019.10.24

東京モーターショー2019 「ハコ型」車に感じた新しい未来

東京モーターショー2019で発表されたトヨタ「e-RACER」

東京モーターショーが大変身しようとしている。10年ほど前までは、ほとんどのカーメーカーは、スポーツカー、環境に優しいコンセプト、または海外メディアが興奮する折り紙やアニメにインスパイアされたぶっ飛んだ小型コンセプトカーを展示していた。

しかし、今や多くのメーカーは自動運転、電気自動車、人工知能を取り入れたクルマ、いやモビリティと言った方が正しく、それらを実際に体験できるアトラクション形式で表現するようになった。



プレスデイ初日に、トヨタの豊田章男社長が語った言葉は、まさに今回のショーの象徴的な意味を持っている。

「今回トヨタのブースには、来年販売するクルマは1台もありません。社会と街と繋がり、人に移動やサービスを提供するモビリティばかりです。こんな未来、ワクワクしませんか?」

こう言って、このモーターショーの新定義をしたような気がした。とはいうのも、ほとんどどのメーカーのブースに行くと、電気自動車(EV)、自動運転などの展示はされていた。

やはり、こんな大胆なコメントは豊田社長ならではの発言かと感じたのは僕だけではなく、英国の同僚も同様だった。実は英国の有力誌「カー」では先月、豊田社長に「全世界の自動車業界で最も影響力のある人物」賞を進呈している。

トヨタのブースは、その言葉通りの空間だった。社会と人をつなげる自動運転のEVの箱型コンセプトカーが数台あって、近未来の社会はこうなるのかと予測しているように見えた。でも、その箱型EVバスの隣に、ドライバーが実際に運転を楽しめるよう「e-RACER」のコンセプトを置いていたのが嬉しかった。トヨタはドライバーを忘れていないということだ。まるで映画「バットマン」の中から出てきたかのようなエッジーなスタイリングには近未来の匂いがあった。

別の会場に展示したトヨタの新型燃料電池車「ミライ」と新型ヤリス(元「ヴィッツ」)だけは販売計画がある。ロングノーズの普通っぽい高級車のように格好良く生まれ変わり、後輪駆動に変身したミライは来年の後半に登場するそうだし、世界の戦略車ヤリスは年内に発売される。



2011年に世界初の市販EV「リーフ」と発表した日産のブースは、「アリア」というスタイリッシュなSUVっぽいEVと、軽自動車サイズのEV「IMk」を披露。どちらも日産が得意とする準自動運転技術「プロパイロット」の次期バージョンを搭載していた。つまり、手放しの運転ができるということで、業界を驚かせている。


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文=ピーター・ライオン

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