ビジネス

2019.10.28

総エントリー数21万、eJリーグ大会に見る「メディアとしてのゲームの可能性」

左から窪田慎二、森田直樹


当初は、どれぐらいの参加者になるのか不安だったが、約21万5千人以上のエントリーがあり、あらためてゲームを楽しむ層の広さを実感したという。

大会を提案したコナミデジタルエンタテインメント執行役員の森田直樹は、「リアルな試合を見たことがなくサッカーゲームを楽しんでいるだけの人でも、クラブサポーターとして応援する喜びを共有したり、共有し合っているとわかってもらえるのに大きな意味があるのではないでしょうか」と語る。 

クラブ別の選手エントリー数では、ヴィッセル神戸の約6万2000人を筆頭に、北海道コンサドーレ札幌の約2万人、浦和レッズの約1万4000人と差がはっきりと出た。これについて窪田は、「リアルなファンが多いクラブは、ゲームを楽しむ人の母数も多くなるということでしょうか。海外で活躍した外国籍選手がJリーグでも活躍し、彼らを(ゲーム上)で自由に動かしてみたいとの思いもあるのかもしれません」とみる。 

リアルのクラブの魅力が、リアルとはあまり縁がなかったゲームを楽しむ人の思いにもなんらかの影響を与えるとすれば、そこに「メディアとしてのゲーム」の可能性が秘められていそうだ。

だからこそeスポーツと融合することでスポーツビジネスにも新たな視点が生まれるのだろう。森田は、「これまでのゲーム大会では、ゲーム好きな人が満足するだけで終わっていましたが、Jリーグさんとの協業である今回は、クラブが『eスポーツの選手を応援しよう』とツイートするなど両者の関係性が変わりました。ここに新たなヒントが隠されているように感じます」と語る。

窪田も、「各クラブはいま、eスポーツとのかかわりを模索している状態です。そのなかでこの大会はeスポーツとしてサッカーを楽しむ層の確実な存在を感じさせるものでした。これをしっかりと受け止めて、今後どのように取り組んでいくか、可能性を探りたいと思います」と話した。 

2020年大会については、開催について前向きに検討中だという。

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窪田慎二◎Jリーグマーケティング 代表取締役社長執行役員。1997年日本プロサッカーリーグ入社。競技運営・選手契約・事業・クラブライセンス等幅広く担当。2017年4月より現職。

森田直樹◎コナミデジタルエンタテインメント 執行役員、「ウイニングイレブン」シリーズ制作部長。『ワールドサッカー ウイニングイレブン8』から、本シリーズに参画。2019年から現職。

文=船木春仁 写真=船木春仁

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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