ビジネス

2019.10.31

薬機法の改正を追い風に。カケハシが26億円調達で挑む、しなやかな医療体験の創造

カケハシの代表取締役CEOの中尾豊(左)、取締役COOの中川貴史(右)


また、薬局業界は薬機法の改正によって30、40年に1度の大変革期を迎えている、と中川は言う。

「これまでの薬機法における薬剤師、薬局の定義は“薬をつくる専門家、薬を渡す場所”だったのですが、薬機法の改正によって“薬の指導をする、患者の相談役になる”にニュアンスが加わります。法律上の定義が変わってくるので、薬の専門家として処方の内容が安全なのかを判断したり、患者ごとに最適な薬の飲み合わせを伝たり、役割が変わってきます」(中川)

今までは“薬を受け取る場所”としての認識が強かった薬局が、より薬剤師と患者のコミュニケーションが重要な場所になる。Musubiが薬局と患者が新しい関係を構築するための架け橋となる大きなチャンスを迎えていると言っていい。

「僕の祖母はいま薬を13種類ほど飲んでいますが、日本にはこういった患者さんがたくさんいます。でも、よくよく内訳を見ると、同じような薬もあり、全部飲まなくてもいいかもしれない可能性もあるんです。医師側で何かあってはいけないから、と副作用を防止するための薬が処方され、結果的に薬の数が多くなっている。

患者と適切なコミュニケーションをとることで、無駄にかかっている医療費、患者さんの負担を減らすことが薬剤師の本来の役割。薬機法の改正を追い風に、日本の医療体験をさらに良くすべく、事業をドライブさせていきたいと思います」(中川)

日本の医療体験を、しなやかに──。壮大なミッションの実現に向け、カケハシは今回の資金調達を機に優秀なメンバーを集め、患者が生活しやすい、薬剤師が働きやすい世界の実現に向けて取り組んでいく。

文=新國翔大 写真=小田駿一

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