夫と共にサンフランシスコへ移住後、いくつか事業のアイデアを考えている中で、周囲の人たちの“健康”に対する意識が変わってきていることに気づく。
「例えば、サンフランシスコはとても美味しいコーヒー屋さんが多くあるけど、最近カフェインが苦手だという声も増えています。夫も午後16時以降、カフェインの入っている飲み物を飲まなくなったり、ランニングを日課にしたり。健康に気を配っている人たちが増えてきた。私自身、万人ウケするものをつくりたくなかったので、この健康志向の人たちに深く愛されるものをつくったら面白そうだと思い、BOBA PINKを立ち上げました」
これまでに飲食店を立ち上げたこともなければ、自分の手でタピオカティーをつくった経験もない。何の知識もない中から、タピオカティーづくりは始まった。タピオカの原料を何にするか。色々調べていく中で出会ったのがアマニだった。
「最初はチアシードを原料にしようと考えていたのですが、味がなくて粒が硬い。もっと良いものはないかと探していたら、アマニの方が栄養素があると書かれていた。それで試しにつくってみたら、シードそのものに甘さが感じられスイーツさがより表現できていたのでアマニを使うことにしたんです」
競合はコーヒーショップ
また現在、BOBA PINKは「TURM IT UP/TURMERIC MANGO FRUIT TEA」や「PURPLE GALAXY/GREEN ROOIBOS BLUEBERRY FRUIT TEA」といった少し変わり種のタピオカティーを提供しているが、これらは偶然の中から生まれた産物だという。
「知識がないので、とりあえず自分の中で気になった材料を調合してみて、美味しかったらメニューにしてみる。売れる確証はないですけど、ある意味スタートアップのように、とりあえずリリースしてみる。もしダメだったら変えればいいだけなので。BOBA PINKはタピオカ屋さんとしての経験がないからこそ、ユニークな立ち位置にいれるんだと思います。多分、本業の人たちはこんなことやろうと思いませんから(笑)」
実際、BOBA PINKのタピオカティーを飲んだ人たちからは、「これは飲んでも胃が重たくならないし、後味がスッキリしていてすごく良い」という声があり、続々とリピーターが増えているという。
サンフランシスコにも少しずつタピオカティー専門店がオープンしているが、小林は「競合だと思っていないので気にならない」と語る。どこも従来の黒いタピオカを使っているため、同じカテゴリーに属さない。
「BOBA PINKには健康オタクみたいな人たちだけに来てもらえればいい。そういう意味では、食後のお口直しにコーヒーか何か飲みたいなと思っている人にBOBA PINKを飲んで欲しいので、競合はコーヒーショップかもしれないですね」