2015年の夏に台湾ティー専門店「ゴンチャ(Gong cha/貢茶)」が日本1号店をオープンして以来、タピオカ人気に火がつき、店舗が急増。いま、渋谷のセンター街には数十店舗が立ち並び、若い女性や外国人がタピオカティー欲しさに長蛇の列をなしている。
しかし、ついつい飲みたくなってしまう“中毒性”がある一方で、非常に高カロリーな飲み物でもある。そんなタピオカティーに「飲み続けたら不健康になっていく」と危機感を覚えたのが、起業家の小林有加だ。彼女は異国の地、サンフランシスコで、健康意識が高い人向けのタピオカティーを展開している。
サンフランシスコで外食の体験を友達と共有するモバイルアプリ「Chomp(チョンプ)」を手がける小林清剛の妻である彼女は、現地の日本人起業家たちからは“ぴんくさん”という愛称で親しまれている。
今年9月、小林はユニオン・スクエア近くにタピオカティー専門店「BOBA PINK(ボバピンク)」をオープンした。同店が提供するタピオカティーは、日本で飲むものとは一線を画している。
タピオカの原料は一般的にキャッサバの根茎から製造したデンプンだが、BOBA PINKはタピオカの原料に“スーパーシード”と呼ばれるアマニ(亜麻仁)を使用。細かく挽いたアマニシードはそれだけで自然の甘みがあり、日本人にとってはなぜか懐かしくもある味となっており、つぶつぶともちもちがまざった食感が新鮮で、従来のタピオカとは180度異なる。
これを毎日、粉をこねるところから始まり成形マシーンで手作りしているという。また使用するティーも、健康意識が高い人に向け、カフェインレスのメニューが多い。
なぜ、小林は従来の常識を覆したタピオカティーを手がけることにしたのか? その理由をこう説明する。
「もともと、タピオカティーが大好きで週4日飲んでいたのですが、飲み続けてたらどんどん太っていき、このままではヤバイな、と。とはいえ、大好きなものなので、健康志向のものはできないかと思い、自分でつくってみることにしたんです」(小林)
カフェインを摂取しない人たちが増え始めた
小林はサンフランシスコに移住する前、日本で8年ほど、さまざまな種類の事業を立ち上げてきた経験を持つ。
「その時代に存在していなかった誰も知らないサービスを作りそれが普及していくのが何ものにも変え難く面白い」と言う小林、とにかくゼロイチの立ち上げを楽しんできた。