ビジネス

2019.10.24

起業家の新たな挑戦。Blabo創業者が新会社設立、「テクノロジーの力を、大手メーカーへ」

スタートアップスタジオ「Tune(チューン)」を立ち上げた坂田直樹


「ユニリーバで新商品の開発をしていく中で、消費者のニーズと商品の機能がズレている、そんな感覚があったんです。私たちは東京のオフィスで新商品について会議しているわけですが、実際に商品を購入してくれるのは全国の人たち。定量調査やアンケート調査を実施しても、なかなか本音は掴みきれない。どんどん消費者の感覚が分からなくなっている感じだったんです。その頃、ちょうどツイッターが伸びてきていて、ツイッターのようなプラットフォーム上で消費者と直接話した方が本音を発見できるのではないか、と思いコ・クリエーションの場をつくることにしました」(坂田) 

当時、コ・クリエーションやオープンイノベーションといった言葉が今ほど浸透していなかった時代。多くの人がBlaboの事業に懐疑的な見方をしていたが、それでも坂田は「絶対にコ・クリエーション、オープンイノベーションの流れが来る」と信じていたという。

「2000年頃から、当時P&GのCEOだったアラン・G・ラフリー氏が『今後、企業はユーザーと直接つながってオープンイノベーションが当たり前になる』という発言をしていて。日本は全然そんな空気感ではなかったのですが、数年後にそのムーブメントは来るんだろうな、という確信に近い思いは持っていました。

企業のマーケターと、購入しているユーザーが直接つながり対話をした方が本音が聞けて、さらに深掘りができるので良い商品が生まれやすい。マーケターとして、ユーザーが何に困っているのかが分からないまま製品をつくるのは、しんどいんです。直接つながれる場所があったら絶対に求められるんだろうな、と思っていたら、次第に大手のクライアントが利用してくれるようになっていきました」(坂田)

こうして2011年にリリースした共創コミュニティ「Blabo!」は、7年間で3万人を超える生活者が、オンライン上で企業の企画会議に参加できる仕組みを通じて、企業にアイデアを提供するプラットフォームに成長。



日本コカ・コーラ、キリンビール、ハウス食品、森永乳業など200社以上がBlaboを利用し、消費者のアイデアを起点に200個以上の商品やサービスが生まれてきた。
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文=新國翔大

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