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2019.10.24 17:00

「束の間フードコート」に「元映画館」 若者たちが遊休不動産に見出す新たな価値


都会の真ん中に実験的なフードコートを

企画を持ち込んだプロデューサーの古谷はかねてから、新たな食文化が生まれうる食の実験場作りに挑戦したいと考えていた。「若手で面白いことを考えている料理人が店舗を作り、固定費を払って実験するのはとてもハードルが高い。だから、このプロジェクトを通して、料理人同士が出会える、気軽に新しいことに挑戦できる場所を作りたいと思いました」と古谷。

古谷が集めたテナントは個性派ぞろい。真鯛の骨と身を贅沢に使った「鯛骨拉麺 鯛祥」やミートボール料理専門店「MeatBalls」、100種類のお茶割が楽しめる専門店「茶割」、市場に流通しない野菜の定期配達サービス「yasaicco」による野菜料理、蒸留・発酵・熟成をテーマにした新ノンアルコール専門店 「the NON-AL STAND のん」など。しかも「ツカノマノフードコート」に出店したいテナントは最短1日から出店が可能。光熱費なし、売り上げの15%が賃料という破格の契約条件。ここには、料理人の挑戦ハードルを下げる目的がある。


ツカノマフードコートでは、週ごとに異なるテーマのフードが提供される

10〜11日のプレオープンにはクラウドファンディングの支援者が多く駆けつけ、活況を見せた。超大型の台風通過前という悪天候にもかかわらず、30〜40人しか入れない店舗にのべ200人以上が訪れたという。古谷はプレオープンを経て、「会場は出店者の料理人の方々との熱気と、来場者の好奇心にあふれていました。こうした場所が両者にとって必要なんだということを実感できました。今後も食のテーマごとに興味を抱いた方に加えて、地域の方がふらっと気軽に立ち寄れるような場所にしていきたい」と意気込みを述べた。

4カ月で閉店する「ツカノマノフードコート」は、今後もビルや商業施設でのポップアップなど、さまざまな形で“束の間”の出現を目指すという。RELABELでもすでに富ヶ谷や南青山、銀座など、新たな物件の整備を進めており、今後も“刹那的”な物件活用を続けていく計画だ。
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文・写真=角田貴広

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