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2019.10.23 17:00

二代目ラスボスR-指定が語る、人に響く言葉と歌詞へのこだわり


ラッパーのなかでも特に遅筆だと言われるR-指定。今年8月に発売されたアルバム「よふかしのうた」では、本来全曲出来上がっていけない時期に半分の曲しか歌詞が完成していなかったほどだった。
しかし、それほどまでの言葉へのこだわりもあってか、Creepy Nutsの曲を聞き、歌詞カードをよく見れば、幾重にも言葉がかかり、緻密な構造で、曲全体が目に浮かぶストーリーになっている。たとえば、同アルバムの収録曲「犬も食わない」では、飼い犬と野犬、それぞれの視点から互いを描写しながら、最終的にその矛先は飼い主である人間へと向けられる。

こうした作詞法は、ビジネスシーンでもヒントになる。企画書をつくる際に、まずは最終的な結論を考え、それに向けいかに説得力のある言葉を並べるか。または、それまでとは違う視点で物事を見ることができるか。

「俺の経験上、フリースタイルに呪われていないラッパーのほうが歌詞を書くのは早いと思います。俺は呪われるほどフリースタイルをしてきて、いまはラスボスになって、責任もある。アーティストとして売れて、若い子たちに夢を見せないといけないと思っています。だからこそ、歌詞を書くのに慎重になるのかもしれません」と自己分析する。

R-指定は、UMB三連覇後に一度フリースタイルの世界から引退している。しかし、敬愛するZeebraに声をかけられ、「フリースタイルダンジョン」のモンスター、そしてラスボスになった経緯がある。

R-指定はリリックを書くとき、冒頭から書きはじめるわけではない。まずは思いついたフレーズをノートに書き留める。ただ、即興が得意なためフレーズやオチが大量に頭に思い浮かぶ。そこにラップ特有のライミング(韻を踏む)や、パンチライン(印象に残るフレーズ)などの要素を考慮しながら、ベストな組み合わせへとパズルのように組み立てていく。そのため、どうしても時間がかかってしまう。言語能力に優れた人間ゆえの苦悩なのかもしれない。
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文=本多カツヒロ 写真=小田駿一

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