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2019.10.23

ソフトバンク救済でウィーワーク創業者「ビリオネアに復帰」へ

アダム・ニューマン (Michael Kovac/Getty Images for WeWork)

資金繰りに苦戦中のシェアオフィス「ウィーワーク」が、ソフトバンクグループの救済案を承認し、ウィーワークの経営権をソフトバンクが取得することが決まった。これにより、ウィーワーク創業者で元CEOのアダム・ニューマンは17億ドル(約1800億円)近い大金を手にして、経営から退くことになる。

ウィーワークの取締役会は10月22日、ソフトバンクの救済案を受け入れ、JPモルガンからの融資を断ったとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。

ソフトバンクは債務の形で50億ドルを、ウィーワーク運営元のウィーに支払う。ウィーの企業価値は今年1月にソフトバンクが出資した時点で470億ドルとされたが、今回は80億ドルの評価となった。ウィーの企業価値は数カ月で83%も減少したことになる。

ソフトバンクはニューマンの持ち株を10億ドルで買い取り、4年間のコンサルティング費用として1億8500万ドルを支払う。さらに、5億ドルをニューマンに融資し、彼のJPモルガンへの借金の返済を支援するとWSJは報じている。

ウィーの取締役会長にはソフトバンク幹部のマルセロ・クラウレが就任し、ニューマンの業務を引き継ぐ。さらに現在、ウィーの共同CEOを務めているアーティー・ミンソンやセバスチャン・ガニングハムに代わる人材の候補者選びも開始し、事業再編を進めていくという。

ニューマンは今後も、ウィーの取締役会には参加するが投票権を持たないボードオブザーバーの位置にとどまる。ソフトバンクに株式を売却後の、ニューマンの持ち株比率は10%未満に低下する見通した。

ニューマンは今年7月、IPOを目前に控える中で、株式の売却などにより7億ドル以上を手に入れていたとWSJが報じていた。スタートアップの経営者は通常、上場まで株式を保有し続けるが、ニューマンの行為は異例のものとされた。

かつて、米国で最も企業価値の高いスタートアップに数えられたウィーワークは先月、IPO計画を延期して以降、強い非難を浴びている。企業の存続を図る同社にとって、新たな資金調達は喫緊の課題となっていた。

ウィーワーク創業者のニューマンの保有資産は、今年3月時点では41億ドル(約4400億円)とされたが、フォーブスは10月10日、彼の資産を最大で6億ドルに引き下げた。しかし、今回のソフトバンクの救済措置により、ニューマンの資産は再び10億ドルを超えることになりそうだ。

編集=上田裕資

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