9月12日の朝、ZOZOはそう発表した。この突然の発表に日本中が驚くとともに、これからのZOZOはどうなっていくのか、と思ったことだろう。
今後の展開について、その詳細は当事者たちしか知る由もないが、ZOZOの今後を占う上で面白い動きが、冒頭の発表の11日前に行われていた。
ZOZOグループのZOZOテクノロジーズは9月1日、米アマゾン社でチーフ・サイエンティストを務めたアンドレアス・ワイガンド(Andreas Weigend)をデータサイエンスアドバイザーとして迎えたことを発表している。
アンドレアスはアマゾンのデータ戦略を担ってきた人物。創業期からジェフ・ベゾスの右腕として、データサイエンスの知見を使ってアマゾンのデータ戦略を考え、ユーザーにとって使いやすいECプラットフォームの構築に尽力してきた。「アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える」(原題「Data for the people」)の著者といえば、ピンと来る人もいるのではないだろうか。
彼は現在、トップカンファレンスや世界中の企業イベントの登壇のほか、スタンフォード大学やUCバークレー校で教鞭をとっている。また、ソーシャルデータラボの指揮、個人コンサルタントとして航空会社や銀行、通信会社、ファッション関連企業、ヘルスケア企業などの大手企業に対して、データと分析技術の活用方法について教えている。
そんなアンドレアスが日本企業のアドバイザーに就任するのは初のこと。日本も数多くの企業がある中、なぜZOZOだったのか。今回、彼が拠点を構えるタイ・バンコクを訪れ、独占取材を実施。ZOZO参画の舞台裏について、アンドレアスとZOZOテクノロジーズ代表取締役CINO(チーフイノベーションオフィサー)の金山裕樹に聞いた。
嫌いな人と働く時間があるほど、人生は長くない
アンドレアスはどのようにしてZOZOグループを知ったのか。単刀直入に聞くと、彼は微笑みながら、「最初はいたずら電話かと思ったんだよ。今まで見たこともない番号から電話がかかってきたからね(笑)」と答えくれた。今から1年ほど前、エストニアにいたアンドレアス宛にZOZOグループから電話があり、そこで初めてZOZOのことを知ったという。
金山はアンドレアスについて、こう評する。
「まず、最初にアンドレアスを知ったのは彼の著書『アマゾノミクス』です。データの活用方法に対する考え方やこれまでの実績を見て、間違いなく彼の持っている経験や知識というものがZOZOグループのデータ活用を後押ししてくれるものになると思っていました。
実際に会ったとき、間違いなくこの人だなと思いました。それは、マインドセットがチャレンジャーである点やグロースマインドセットを持っている点、我々のビジョンに共感してくれている点など、トータルで気が合うと感じたからです」
ZOZOテクノロジーズ 代表取締役CINO 金山裕樹