世の中の課題を捉え、それを的確に言い表す言葉でじわりじわりと社会を動かしている彼を、Forbes JAPANは「トップインフルエンサー50」に選出した。
現在、山口のツイッターのフォロワーは約4万人。ビジネス分野でも作家でも、数十万のフォロワーを持つ人がザラにいることを考えると、その数は決して多いわけではない。
ツイッターは2010年に始めたが、2年前まではフォロワーは500人ほどだった。書籍発売にあたり、ツイッターを販促に使いたい担当編集者から「3カ月間、毎日10投稿してください」と義務付けられ、言われるがままに集中投稿。1カ月しか続かなかったが、そこで3000人まで伸び、その後は半年ごとにおよそ倍々に増えていった。
彼のファンが積極的に反応しているのはわかる。それにしても、「いいね!」やリツイートなどの反応がいい。彼の言葉はなぜ高い共感を得るのだろうか。
ツイッターは自分の備忘録
山口はツイッターを、「メモみたいなもの。自分の備忘録」だという。だから、何かを狙って発信しているわけではないが、「ツイッターのいいところは、そのメモに対してどれだけの反応があるか見えて、次の本のテーマ設定などのテストマーケティングになるところ」だと話す。
メモとしては、過去にはiPhoneのメモやエバーノート、モレスキンも使っていた。しかし、「モレスキンはカッコいいけど、なかなか見返さない。意味はあるけれど、役に立たなすぎるからやめた」という。それでも今も、紙やペンを駆使してアイデアを整理する人に憧れはあるらしい。
ツイッターは情報収集のツールともなるが、山口は誰もフォローせず、インプットには活用していない。それは、過去にフォローしていた頃に「ここはゴミ捨て場、公衆便所だな」と感じてしまったからだという。
「ツイッターにはノイズが多い。例えば、好きな作家さんをフォローすれば、その人の考えにいち早く触れられるかもしれないけれど、くだらない投稿もかなりある。それなら、時差はあるかもしれないけれど、純度の高い本になってから読む方がいい。それに、匿名の利用者が多いからか、ツイッターは怒りのはけ口にもなっているとも感じる」
そう気づいてからは、誰もフォローはしていない。自分のノートはきれいにしておきたいのだ。
そう考えている山口のツイートには、吐き散らしているような言葉がない。彼の本の読者からすると、読んだことのあるトピックの延長や新しい事例の紹介であるように感じる。世の中の事象に対する一見手厳しい意見もあるが、それは冷静な解釈であったり、批判で終わらず提案があったりする。