ビジネス

2019.10.23

なぜ山口周のツイートはエンゲージメントが高いのか?

山口周


自身の投稿について山口は、「ポイ捨てしないように気をつけている」と言う。「ツイッターはパブリックな場所。そこに言葉を出す以上、ゴミではいけないし、それが世にないときより、良い状態にならないと出す意味がない」という思いが根底にある。

そうして発せられる彼のつぶやきは、大きな反響を得る。今年8月25日の以下の投稿は、4500ほどリツイートされ、約2万の「いいね!」がついた。


なぜそれほど刺さるのか。山口は、情報に対する反応には4つの種類があるとして、その謎解きに役立つヒントをくれた。

その4種類とは、「知っている/知らない」と「納得できる/できない」の組み合わせからなる次のパターンだ。

1. 知らないけれど、納得できる
2. 知っていて、納得もできる
3. 知らなくて、納得できない
4. 知っているけれど、納得できない

企画書で一番刺さるのは「1. 知らないけれど、納得できる」で、本を読んでいるときに人が無意識に線を引きやすいのは「2. 知っていて、納得もできる」だという。

「本当は、『3. 知らなくて、納得できないこと』が思考のスタートポイントになるので重要なのだけど……」と山口は言うが、彼の投稿は、1と2の間にあるように思う。

古代哲学者から現代の思想家まで、その主張と思考プロセスに詳しい山口の言葉には、時代や社会を俯瞰した冷静さと、膨大な裏付けがある。

それらの言葉は、なんとなく感じていたけど説明できないことを言語化してくれ、そうかもしれないと思いながら腑に落ちていないことを整理してくれる。だから、「そうだったのか!」「やっぱりね」と、多くの人が線を引くように反応するのだ。

SNS時代の希望と闇

ところで、山口はインフルエンサーというものについて、どう考えているのか。

「こういう時代で良かったなと思う」と彼は言う。「これまでは、世の中の1%しか共感してくれないものは、ないものとされていた。作品や主張があっても、伝えるのに限界があった。それが今は誰もが発信でき、届くべきところへ届け、そこにコミュニティを作ることができる」

その時代において、フォロワー数など「数」をインデックスとしていては、20世紀的なマスメディアとなんらかわらない。だから規模ではなく、「小さくても拓かれた領域で、深く届けることができる人」がインフルエンサーであり、歓迎するべき現象であるという。
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文=鈴木奈央

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