オーストラリアでの初プロモーション、やはり成功の鍵は「人」だった

オーストラリアで行った岐阜県プロモーションの様子


しかし、案の定、会場となる現地のホテルスタッフなどが長期休暇に入ってしまい、問いに対する返信はなかなか来ないし、戻ってくる返事はネガティブなことも多く、本当に苦労した。現地の日本人事業者も相当苦労したことと思う。そんななかで、いよいよ9月、本番の数日前に、ようやく私を含め関係者が現地に向かった。

初めて見るホテル内の会場。現地の日本人事業者チームとは、事前にホテル側に用意してもらいたいもの、現地で手配するものなどを、さんざん打ち合わせしてきたはずなのに、いざ下見に行って見ると、こちらの注文と異なるものが用意されていた。



とはいえ、これくらいは海外ではよくある話だ。海外でのプロモーションを10年近く行っていると、日本人スタッフと海外の現地スタッフとの意識の違い、言って見れば「実務責任感」へのギャップがいかにあるかを肌で感じてきた。だから、ちょっとやそっとのことでは、うろたえないし、怒ったりもしない。

あんなに綿密に事前準備を(遠隔だけれども)行ってきたのに、と内心は思いつつ、感情的にはならずに、はっきりと「これ、間違っています。こちらのオファーと違います」と意見を伝える。

そこで、最初にハッとした表情になってくれたのは、現地の日本人事業者の責任者の女性だった。彼女は、即座に私に向かって「すみません! すぐ対処します!」と言って、ホテルの担当者(こちらも女性だった)に、変更を依頼した。するとホテルの担当者は、謝りもせず、「オーケー、本番までに用意する」と笑顔で私に言うのだ。

そこで私は、彼女に向かって「こういうことがあるから、事前に打ち合わせに来ているのだから、必ず本番の日までには正しいものを用意してください」と言うと、その女性より先に、日本人事業者の女性が「はい!」と答える。

仕事だから当たり前かもしれないが、私はその日本人の姿勢には好感を持った。言い訳など一切せず、まっすぐ私の目を見て「すぐ対処します」と答える姿に、彼女ならきっとなんとかしてくれるだろうと思った。

162個のガムテープを用意した百戦錬磨

しかし、2日後、イベント当日の朝8時に用意されていたのは、やはりこちらのオファーより50センチほど高さが低いパネル27枚だった。全部がまるで当然のように設置してあったので誰も気づかなかったのだが、明らかに低い。

まずは日本人事業者の女性を呼び、「背面パネルの高さが全部、違いますよ」と伝えると、彼女は、「え?」という表情をしたものの「午後の本番までに全部、修正します!」と再び私の目をまっすぐ見て、一目散に会場を走り出た。

それから3時間。昼前に再び確認すると、彼女は「ホテル側に新しいパネルを用意するように言っているのですが、まだ手配できていないようです」と答えた。そして「やはりこのままのパネルではダメですよね」とも聞いてきた。私は「それではダメです」とはっきり伝え、彼女はもう一度「はい、ではなんとかします」と言う。
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文=古田菜穂子

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