オーストラリアでの初プロモーション、やはり成功の鍵は「人」だった

オーストラリアで行った岐阜県プロモーションの様子

9月初旬、岐阜県としては初めて、オーストラリアへ出かけ、インバウンドのプロモーションを実施した。東京オリンピック・パラリンピックで盛り上がるであろう2020年を視野に入れてのものだが、シドニーとメルボルンの2つの都市で行ってきた。

通常、私たちが諸外国で初めてプロモーションを行う場合、本番までに数回現地に足を運び、信頼できるカウンターパートを探し、関係を築き、こちらの本気度(ただイベントを開催して、あとは終わりといったものではないという)を伝える。

さらに、国毎にどのようなプロモーション手法が最適かを判断するため、マーケットリサーチも必ず行うのだが、今回は、統轄アドバイザーである私が現地に行けるのが本番の数日前というタフな状況となってしまった。

ちなみに、行政が海外プロモーションを実施する時期は、本来ならば10月や11月、または2月などが多い。それは議会開催などの時期を避けることと、4月が新年度の日本は、概ね人事異動が3月にあることから生じる準備不足を想定し、春は避けたいという事情がある。また、欧米などは7月中旬から8月いっぱいまでがバカンスのシーズンとなるため、9月初頭も避けたいという考えからだ。

しかし、今回は、諸事情から9月上旬に開催しなければならなくなり、さらに5月には別都市で予定があり、準備が3カ月もないという短期決戦になってしまった。したがって、現地の事前調査は他のスタッフに任せ、私は本番まで日本を離れることなく、岐阜にいて、できる限りの準備を行った。

岐阜で準備し、いざ現地へ

今回のオーストラリアでのプロモーションも、これまでと同様に観光や食やモノを組み合わせて、県としてのブランディングをしっかり伝えながら、かつ来るべきスポーツイヤーに向け、日本を訪問したいと考えている現地の人々に対し、岐阜にも足を運んでもらうための観光商品を伝えることが主な目的だった。



魅力的な宿泊場所、食事処、独自の体験プログラムなど、ミシュラン流に言えば「そのために旅行する価値のある場所」や「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい場所」といった観光の目玉が岐阜県には多数用意されていますと伝えることが重要で、そこではじめて、現地の旅行会社やメディアは、岐阜県のプロモーションに協力しようと本気になってくれる。

現地での準備期間が少ないぶん、今回は岐阜での新たな観光商品づくりに奔走した。プロモーションのテーマは「GIFU Experience Pure Wonder」とし、岐阜県ならではの歴史や文化をアクティブに体験する観光や、飛驒牛などの食や匠の技の紹介などを、いかに魅力的にプレゼンテーションできるかにこだわった。

そこで、通常なら送料コストなどの削減のために現地で製作する装飾備品や宣材資料などを、ほぼ岐阜で製作することになった。現地では、在オーストラリアの日本人事業者を運営会社に選定し、遠隔操作さながらのスカイプミーティングなどを綿密に重ねていった。
次ページ > さんざん打ち合わせしてきたはずなのに

文=古田菜穂子

ForbesBrandVoice

人気記事