米過激アニメ「サウスパーク」の配信権が540億円で競売に

South Park / Comedy Central

ストリーミング業界では有名TVドラマシリーズの巨額買収が続いている。そんな中、カルト的人気を誇る過激アニメ「サウスパーク」の権利元のバイアコムと、制作者のトレイ・パーカー及びマット・ストーンらが、この作品の米国での独占配信権の売却を目指していることがブルームバーグの報道で明らかになった。

金額は4億5000万ドルから5億ドル(約543億円)が想定されているという。サウスパークは現在、米国においてHuluが配信しているが、入札には少なくとも6社が関心を示しているという。

Huluは2015年に1億9200万ドルを支払い、この作品の配信権を入手しており、今回の買収額はその約2倍に達することになる。買い手候補にはワーナーメディアの「HBO Max」や、アマゾン、NBCユニバーサルの「ピーコック(Peacock)」の名が挙げられており、Huluも配信権を維持しようとしているという。

一方で、アップルはサウスパークの過激な内容や、この作品が中国で配信を禁止されたことを理由に買収に関心を示していないという。さらに、ネットフリックスも現在、オリジナルコンテンツに注力しているため、入札には参加しない見通しという。

現在、23シーズン目をオンエア中のサウスパークは先日300話目を配信し、米国のTV史に残る長寿シリーズとなっている。米国のストリーミング分野では、人気コンテンツの争奪戦が起きており、ドラマ「The Office」や「フレンズ」、「Seinfeld(となりのサインフェルド)」などの配信権には、約5億ドルの値がついた。

サウスパークは過激な内容で議論を呼ぶことでおなじみだ。10月2日には、中国の刑務所内での強制労働や臓器移植を描いたことが中国政府の逆鱗にふれ、配信禁止になった。また、サウスパークの製作者のパーカーとストーンらは、2004年公開の映画「チーム★アメリカ/ワールドポリス」で、アメリカの対テロ戦争を茶化し、ブッシュ政権の高官や保守派陣営から激しい非難を浴びていた。

編集=上田裕資

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