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2019.10.22

起業家には「原体験重視」と「着眼点重視」の2つのタイプが存在する|面白法人カヤック 柳澤大輔

カヤック 柳澤大輔

「日本的面白コンテンツ事業」を業務内容として掲げ、ソーシャルゲーム事業、ゲーム音楽事業、ウェディング事業、葬儀事業など、多岐にわたるビジネスで話題を呼び続けている「面白法人カヤック」こと株式会社カヤック。同社CEO・柳澤大輔氏に起業家としての心構えや、ベンチャー企業の組織づくりについてドリームインキュベータの小縣拓馬が聞いた。(全5話)

※本記事は2017年9月に実施したインタビュー内容を基に作成しております。

起業家と経営者に求められる素養の違い

──起業家にとって大事な素養とは何でしょう?

まず、「起業家」と「経営者」の違いについて整理して考えましょう。

「起業家」はゼロイチ(無から有)を生み出して社会に対する新しい変革を起こす人、何か新しい価値観を生み出す人だと思うんです。なので、単に「サラリーマンから独立した」というだけでは起業家とは言えません。事業によって「どういった変革を起こすのか」が問われます。



対して、「経営者」は会社・事業を大きくできる人のことを指しています。なので、人から受け継いだ事業でも構いません。規模を大きくすることができれば、「経営者」としては一流です。

「起業家」が起業マインドを持ちながらも「経営者」へと変わっていくこともあれば、とにかくゼロイチが得意な「起業家」が一定規模に事業が成長した段階で後任の「経営者」にバトンタッチしたりすることもあります。

例えば、ゼロイチを生み出して一定規模まで会社を成長させた人が会社を売却して、また新たに起業するケースがあります。そういった場合に、新しく起業した会社が売却した前の会社の大きさを超えられるかというと、全く違う問題が発生して上手くいかない場合が多々あります。つまり「起業家」と「経営者」では求められる素養が違うということです。

「起業家」と「経営者」に求められる素養の違いでいうと、どちらかというと「起業家」は忘れっぽい人が向いていると思います。「経営者」は逆に振り返りが上手い人が多い。それはなぜかというと、「起業家」はゼロイチを生み出す分リスクが大きいので、それでも気にせず突き進める人が起業家に向いているからです。逆に、「経営者」はリスクの芽を先に摘むために、「忘れない」ということも素養として必要ではないかと思います。
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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