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フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは10月17日、米ジョージタウン大学で講演を行い、学生やジャーナリストらに自身の意見を述べた。その模様はインターネット上でライブ中継され、言論の自由や政治的投稿の取り扱いに関する、ザッカーバーグの考えが明らかにされた。

1時間に及んだザッカーバーグの独白は、コンテンツの管理や検閲、テクノロジーが民主主義に果たすべき役割といった多岐なテーマに及んだが、中でも、ザッカーバーグの中国に対するスタンスは注目を集めた。

「私は中国でのサービス開始を望んでいた。当社にとって世界をつなぐミッションは重要であり、フェイスブックは中国をオープンな社会にできると考えていた。しかし、中国と合意に達することは出来なかった。彼らは今後もフェイスブックを受け入れることはない」とザッカーバーグは述べた。

今からわずか数年前まで、ザッカーバーグはフェイスブックの中国進出に意欲を燃やしていた。2015年頃には、彼は頻繁に中国を訪れ、中国の人口の約6割にあたる8億人のインターネットユーザーにリーチを広げようとしていた。

ザッカーバーグは報道によると、2015年に習近平国家主席が参加したホワイトハウスの晩餐会に出席し、習にこれから生まれる娘の中国名をつけてくれるように頼んだが、習はその依頼を断ったという。

ジョージタウン大学の講演でザッカーバーグは、中国政府の検閲や言論の自由の弾圧を避難した。さらに、月間アクティブユーザーが5億人を超えた中国のSNSアプリ、TikTokをやり玉にあげる場面もあった。

「当社のワッツアップには強固な暗号化が施され、プライバシーが守られるため、世界中の抗議活動家たちにも利用されている。しかし、中国のTikTokは政府によるコンテンツの検閲を許し、その対象には米国の市民も含まれている。これは、私たちが望むインターネットと同じものだろうか?」とザッカーバーグは問いかけた。

一方で、フェイスブックはここ数週間の間、政治的投稿の取り扱いについて、議員から強いプレッシャーをかけられている。民主党から大統領選への出馬を狙う、エリザベス・ウォーレンはフェイスブックの紛らわしい政治広告ポリシーを公然と非難した。ウォーレンは、フェイスブックが、政治家が意図的に虚偽の情報を拡散することを許していると述べている。

政治広告はファクトチェック無しで掲載

ウォーレンは先週、フェイスブックに広告を掲載したが、そこには「ザッカーバーグが2020年の大統領選でトランプを勝たせようとしている」という虚偽の主張が意図的に盛り込まれており、フェイスブックを「嘘の拡散で金儲けをしている」と非難していた。

彼女がその広告を掲載したのは、ザッカーバーグが社内のミーティングで、「エリザベス・ウォーレンが大統領になったら、大変なことになる」と発言した音声がメディアにリークされたのを受けてのことだ。ウォーレンは以前のブログの投稿で、彼女が2020年の大統領選で勝利した場合、アマゾンやグーグル、フェイスブックなどのテック業界大手を分割すると述べていた。

17日の講演でザッカーバーグは、フェイスブックを「米国の価値観に基づいた企業」であると述べ、言論の自由を最大限に重視すると話した。また、同社のプラットフォーム上では、ただちに他人に物理的危害を与える内容でない限り、誰もが自由な意見を述べられると話した。

ザッカーバーグは、フェイスブック上の政治家の発言を、外部のファクトチェッカーに送らない方針を打ち出しているが、これについては次のように述べた。

「私はファクトチェックを経ていない政治広告の掲載が、保守派を有利にするとは思わない。政治広告に制限を加えた場合に、有利になるのは現職の議員らだ。現状のフェイスブックの政治広告ポリシーは、政治を変えたいと願う人々や、メディアが取り上げない人々にパワーを与えるものになっている」とザッカーバーグは述べた。

このスピーチはフェイスブックの株価には、ほとんど影響を与えなかった。フェイスブックの株価は本記事の執筆時点で、わずか0.44%の上昇となっている。

編集=上田裕資

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