英国のタイヤ大手クイックフィット社の調査でわかったのは、なんと75%ほどのドライバーが法律で定められている最低の溝深さをわかっていないということ。つまり、溝の深さは1.6mm以上なければ、法律違反だと知っているのは、4人に1人だけなのだ。
日本も同ルールだ。世界一のタイヤメーカー、ブリヂストンのサイトで確認してみたけれど、日本も1.6mmになっている。しかし、僕の周りの日本人に聞いてみても、その認知レベルはだいたい同じような結果だった。
タイヤは、もし一部でも溝の深さが1.6mm未満であれば、整備不良として使用禁止だ。メジャーや物差しがなくても、スリップサインを見れば溝深は簡単にわかる。このスリップサインが一か所でも見えた時点でアウトになるので、注意が必要だ。
しかし実際は、その深さを十分にチェックできているドライバーは少ない。英国の場合だと、1200万人のドライバーは、半年に一回しかチェックしないと言うし、一回も見たことがないドライバーは全ユーザーの15%もいる。
英国では昨年、250万台以上のクルマやトラックが、溝深が足りない「ツルツル」のタイヤで、車検を通らなかったそうだ。また興味深い数字としては、10人に1人は「溝深」の意味もわからないし、その違反によるペナルティや罰金も知らないという。
英国では、ツルツルのタイヤで捕まったら、減点3点、罰金はタイヤ1本に対して30万円ほどだ。つまり、4本のタイヤが使用禁止だと判断されたら、120万円の罰金だ。日本の場合は、減点2点、罰金9000円。英国と比べて安すぎる。罰金を上げる方が、日本のドライバーたちはもっと注意するだろうと思う。
しかし、問題は溝深だけではない。多くのドライバーは、タイヤのサイドウォール(壁)の状態も見なければ、タイヤの空気圧も見ないそうだ。英国の場合だと、5人に1人は、タイヤのサイドウォールに傷があるかないかを見たことがなく、また約12%のドライバーは空気圧を一度もチェックしたことがないという。
空気圧はクルマのドアの周りのどこかに書いてあるはずなので、チェックしてほしい。タイヤを4本チェックするのに1分もかからないので、週一のペースでお勧めする。一番簡単なチェック方法は、セルフではなく、サービス付きのガソリンスタンドでスタッフに「タイヤの空気圧をチェックしてください」と頼めば、数分で終わるはずだ。
自分の靴の底がすり減ってたり、穴が空きそうだったり、靴のヒモが切れそうだったりすれば、誰もが靴を変えるだろう。タイヤも靴と同じ。しかも、場合によっては命を危険に晒す可能性がある。大切にケアをしよう。
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