ZOZOは競合にあらず ユニクロも採用した「身体採寸テクノロジー」企業の挑戦

ボディグラム社CEOであるJin Koh

2017年、ZOZO(当時スタートトゥデイ)が開発を発表したZOZOSUITによって大きな話題を呼んだ「自動採寸技術」。スマホやIoTで手軽に体のサイズを測定する技術は、店員が採寸できないオンラインでのアパレル販売の欠点を補完する存在として期待されている。

それから約2年、発表時とは異なる形でリリースされたZOZOSUITや、コナカによるスマホアプリでの採寸によるオーダーメイドシャツの販売など、自動採寸の存在感はますます高まっている。

その中でも一際注目を集めているのが、シリコンバレーでカスタムブランドシャツを手掛けるオリジナル社が開発し、今年3月に事業ごとスピンアウトしたボディグラム社が提供する高精度身体採寸テクノロジー「Bodygram(ボディグラム)」だ。

人工知能(AI)のディープラーニングを駆使するボディグラムは、洋服を着たままでスマートフォンからの画像と簡単な数値入力だけで、全身の身体サイズを推定してくれる。

ボディグラムはBtoB事業としてアパレル関係企業に提供されており、日本でもファッション通販サイト「ショップリスト」や、ユニクロアプリ内の「MySize CAMERA」が取り入れている。2019年5月に子会社となる日本法人Bodygram Japanも設立しており、日本への進出をより精力的に進めていく見通しだ。



今回、Forbes JAPANではボディグラム社CEOであるJin Koh(ジン・コー)への取材を敢行。日本のファッション市場やZOZOをどのように捉え、その中でどのような活動をするのか。ファッションテック業界の今後を聞いた。


──なぜ身体採寸という分野に挑戦することにしたのでしょうか。

私はもともとエンジニアでしたが、2015年にオリジナル社を創業し、カスタムシャツブランド「オリジナルスティッチ」を展開していました。その運営を始めてすぐに、身体採寸が必要だと感じたんです。

オリジナルスティッチで扱っていたのは主に男性用シャツですが、ユーザーは自分の正しいサイズを知らないし、自主的に採寸してくれません。正しい測り方を解説したマニュアル動画をウェブで公開しても効果は薄く、測ってくれたとしても精度が不十分なことも多かった。そこで開発したのが、ボディグラムです。元エンジニアなので、何か課題があれば技術的に解決できないか考えるクセがあったんです。
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文=フォーブス ジャパン編集部 人物写真=小田駿一

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