赤身肉はこれまで、非常に深刻な健康問題との関与が指摘されてきた。その代表例は、心臓病と結腸ガンだ。それでも人々は、赤身肉が「おいしいから」という理由で食べ続けてきた(もちろん、全ての人が赤身肉を好むわけではない)。
英国の医師会雑誌(BMJ)に今年発表された調査では、ハーバード大学と復旦大学の研究者らが赤身肉を食べるリスクを分析した。著者らは2つの大規模な調査(一つは男性を対象、もう一つは女性を対象としたもの)を用いて、赤身肉を食べることで死亡率が高まるかどうかを見極めようとした。
調査によると、その答えは「イエス」だ。赤身肉の摂取量がより多い(1日当たりの摂取量が半人前多い)男女は、その後8年間の追跡期間で、あらゆる原因での死亡リスクが9%高かった。加工肉はそれ以上の悪影響を及ぼし、1日ごとの摂取量が半人前増えるごとに死亡リスクが17%高まった。
加工肉とは、ホットドッグやベーコン、ソーセージなどの食品だ。半人前と言う表現が多く聞こえたとしたら、そうではない。科学者らは1人前を、牛肉・豚肉・ラム肉では85グラム、ホットドッグは45グラムを1つ、ベーコンは2枚と定めている。クオーターパウンドのハンバーガーは115グラムなので、半人前というのはそれほど大きな数字ではない。
(ちなみに、スモークサーモンが好きな人は心配無用だ。私が8月に執筆した記事で述べたように、スモークサーモンは加工肉ではなく魚で、赤身肉よりもはるかに健康的だ)
では、赤身肉の摂取量を減らすことで死亡リスクを減らすことができるだろうか? 先述の調査ではこの問いについても考察している。その答えはまたもや「イエス」だ。1日当たり1人前の赤身肉を全粒の穀物や野菜、ナッツ類に置き換えれば、死亡リスクは最大19%低下する。
さらに効果があるのは、1日当たり1人前の加工肉(ベーコンやソーセージなど)をナッツ類で置き換えることだ。同調査では次のように述べている。
「加工肉の量を減らし、同時に全粒の穀物や野菜、その他のタンパク源を増やすことと総合的な死亡率の低下の間にはさらに強い関連性があり、リスク低下度合いが最も大きかったのはナッツを増やした場合だった」
これによって、8年間の死亡リスクは26%低下した。また研究の著者らは、複数の異なる期間にわたる効果を分析した場合でも同じような結果を得ている。