得意領域と不得意領域の時間配分を50%ずつにすることで、極端な負荷を伴わず越境人材に進化することができるという同氏の発想は、個人はもちろんのこと、人材育成に携わる組織にとっても有益な学びとなるだろう。
時代の変化に適応するためには、変わらなければならない。変わるヒントも得られた。あとは、行動を起こすのみだ。
最後は、変化の波に飛び込もうとして躊躇するあなたに、一歩踏み出す「勇気」をくれる一冊。アレックス・バナヤン著『サードドア 精神的資産のふやし方』だ。
タイトルとなっている「サードドア」は、文字通り「3つ目のドア」を意味する。バナヤン氏は「ファーストドア:正面入り口」「セカンドドア:VIP専用入り口」「サードドア:いつだってそこにあるのに、誰も教えてくれないドア」と定義する。
「正面入り口」は行列ができていて、入れるかどうかもわからない。「VIP専用入り口」はセレブしか入ることができない。しかし、行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、何回もノックして窓を乗り越え、キッチンを通り抜けた先に、「3つ目の成功のドア」があるという。
成功をつかむために、無謀とも思えるようなチャレンジを繰り返し、やがて本当に「サードドア」を見つけてこじ開けて成功をつかむ同氏のビジネス冒険譚は痛快であり、変わりたいと願う人をきっと鼓舞してくれるだろう。
今や私たちの食卓で当たり前の存在になっている「トマト」は、1942年のクリストファー・コロンブスによる新大陸発見と深く関係しており、スペイン人が新大陸に押し寄せ、戦利品としてヨーロッパに持ち帰ったことが普及につながったと言われている。
コロンブスが国境を越えて航海することで新しい果実をつかんだように、これまでの仕事の境界を越えてみることで、人はかつてないワクワクする仕事を見つけることができるのかもしれない。グローバル化やデジタル化に代表される大きな変化の波に適応したい人に、ぜひおすすめしたい3冊だ。
連載:クリエイターの本棚
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