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1kgの羽毛を燃やすと約1.8kgの二酸化炭素が発生するとされている。羽毛の循環サイクルに参画しているアーバンリサーチの取り組みを聞いた。


限りある資源の無駄遣いをなくして循環型社会を築こうとする流れは、いまや、ファッション業界においても傍流ではない。

そのなかでも、大きなうねりになっているのが、2015年に始動したグリーンダウンプロジェクトだ。大量の羽毛が焼却処理によって二酸化炭素と化してきた現実を変えるべく、アパレルのセレクトショップを本業とするアーバンリサーチも循環サイクルに加わっている。同社のキーマンである二人から話を聞いた。

「羽毛製品を使い捨てにすることなく回収し、取り出した羽毛を使って新たな製品に生まれ変わらせていくのがグリーンダウンプロジェクトです。一般社団法人Green Down Projectが中心になり、理念に共感した多くの企業が協力して取り組んでいます。アーバンリサーチは立ち上がりの15年から参加しました」(アーバンリサーチ事業支援本部 販売促進部 シニアマネージャー・齊藤悟)

「サステナブルなライフスタイルを提案しているアーバンリサーチ ドアーズの約40店舗に羽毛製品回収ボックスを置いたのが始まりでした。現在、弊社のすべてのブランドを合計すると268店になりますが、今年は全体の約57%にあたる153店で羽毛の回収をしています。昨年は104店でしたので、回収店舗数は50%ほどの伸び率で増加しています」(アーバンリサーチ取締役 副社長・竹村圭佑)

同社はプロジェクト発足当初から、Green Down Project の一員として羽毛製品の回収とリサイクルされた羽毛での商品企画・販売に積極的に取り組んでおり、16年秋冬製品からは、会員団体として自分たちで回収した羽毛も提供するようになった。


回収ボックスは顧客を啓蒙する装置としても働く。

「ブランドのオリジナルとして企画するダウンジャケットにGREEN DOWN(=グリーンダウンプロジェクトによってリサイクルされた羽毛)を使用しています。昨年までは主幹の2ブランドのみでしたが、今年からは、ほぼすべての自社ブランドにまで生産の枠を広げることになりました」(齊藤)


GREEN DOWNを使って再製品化されたダウンには専用の下げ札が付く。

「サステナブルという言葉がまだ定着していなかった時代から、弊社では心地いい暮らしや環境保護に思いを寄せるお客様にオーガニックコットン製のウェアなどをお届けしてきました。こうしたつながりがあったからこそ、店舗で回収するダウンの量が年を重ねるごとに増加したのだと分析しています。GREEN DOWNを使って独自に再製品化するアイテムの数量も結果として増えていきました」(竹村)

いま、実店舗の存在意義が問われているなかで、153店舗でのグリーンダウンプロジェクトによる回収は、顧客とリアルで濃密な信頼関係を構築するためのツールになっている。

「グリーンダウンプロジェクトにおいてリサイクルされる羽毛には透明性があり、安全性が保証されているところも強みです。回収された羽毛は新毛に対して行われるのと同じように洗浄されますが、その工程は世界でも最高水準の技術を誇る河田フェザーが担当しています」(竹村)








グリーンダウンプロジェクトで回収された羽毛の洗浄は、ダウン業界で世界的に名の知れた河田フェザーに任されている。三重県にある工場の敷地内にて汲み上げた清らかな水で洗い、熟練職人の経験も生かしながら品質を選別し、厳しい清浄度試験をクリアしたものだけが再製品化される。

「日本羽毛製品協同組合が羽毛に対して取り決めている清浄度基準よりも高く、 さらに自社でしかできない厳しい基準を課していて、暖かさに関する品質も万全に管理されているので、安心して着ていただけます」(齊藤)


(左)ビジネスシーンにおける普段使いから寒冷地への旅行まで、幅広く着用できるメンズモデル。表地にポリエステルと綿をブレンドして柔らかい風合いに仕上げたT/C素材、中綿にリサイクルダウンが使われている。3万7,800円。(右)オーバーなシルエットでこなれ感を演出するウィメンズモデル。価格もこなれている。サステナブルな洋服はホッコリとした空気感で野暮ったく見えがちだが、こちらはトレンドの色やサイズ感で洒落た1着に。2万7,000円




羽毛循環サイクル社会



循環サイクル社会をつくるために、使用しなくなったダウンを各所に設置してある回収ボックスに入れた顧客は、再製品化されたダウンをあらためて購入することと、環境負荷の低減に強くコミットしていると感じられるはずだ。

資源の循環サイクルに参加していると実感できる取り組みの成功例は、世界のアパレル業界でも稀有。


(左)竹村圭佑◎アーバンリサーチ取締役 副社長。1974年生まれ。心斎橋のアーバンリサーチ1号店スタッフ、京都店店長、堀江店店長、渋谷店店長を経験。総務部長、事業支援本部長、専務を経て現職。
(右)齊藤悟◎アーバンリサーチ事業支援本部販売促進部 シニアマネージャー。1976年生まれ。アーバンリサーチ1号店でアルバイトとして働く。現在はプレス課、企業広報課、マーケティング課などを統括。

Promoted by アーバンリサーチ / text by Kiyoto Kuniryo / photographs by Shuji Goto / edit by Aki o Takashiro

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