宇宙ゴミのデータ解析で躍進するスタートアップ「LeoLabs」の野望

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宇宙はこれまでを上回るペースで過密な場所になりつつある。軌道上のアクティブな人工衛星の数は2000基近くに達し、非アクティブなものも2800基に達しようとしている。さらに、2030年までに投入される衛星コンステレーション(人工衛星の一群)の数は2万基以上に達しようとしている。

そこで懸念されるのが、衛星同士が衝突し数億ドル単位の損失を生む可能性だ。

LeoLabsはそれらのリスクの軽減を目指す、カリフォルニア州メンローパークのスタートアップ企業だ。同社は10月14日、ニュージーランドに3カ所目のレーダー基地を建設し、最低2センチメートル四方の物体を追跡可能にするとアナウンスした。LeoLabsは現状で1万3000個の軌道上の物体を追跡中で、新たなレーダー基地により、20万個以上の物体を追跡可能になる。

2016年に設立のLeoLabsは世界最大の研究機関の一つであるSRIインターナショナル(SRI International)の研究プログラムとして始動した。当初は電波天文学の研究を行っていたが、同社CEOのDan Ceperleyによると、小型人工衛星関連の企業から衛星の位置を正確に把握したいとのリクエストを多数受け、現在の業務内容にシフトしたという。

LeoLabsは宇宙ゴミや人工衛星の位置を科学的データの解析によって把握し、企業や天文学者らに提供している。同社はアラスカやテキサス、ニュージーランドにレーダー施設を構えている。これまでの資金調達額は1900万ドル(約21億円)に及び、ソフト及びハードの開発を進めている。

LeoLabsは、総額15億ドルを投じて建設された米空軍のスペースフェンス(Space Fence)などよりはるかに安価なコストで、同等のシステムを構築している。出資元の1社であるSpace AngelsのChad Andersonは「彼らのプロジェクトは、適切な時期に適切なツールを提供するものだ」と説明した。

「宇宙ゴミの除去には巨大なニーズがある。LeoLabsの成功は宇宙エコノミー全体の成長を加速させていく」

LeoLabsは衛星や宇宙ゴミの情報を即座に入手可能なソフトウェアのパッケージ、LeoTrackをサブスクリプションで顧客に提供し、カスタマイズ版の提供も行っている。同社のソリューションには衛星企業や政府だけでなく、保険会社も関心を示している。

イメージ解析やレーダー、宇宙インターネットなどの分野が成長するにつれ、需要はさらに高まる見通しだ。

「LeoLabsのプラットフォームとしての魅力をアピールしていきたい」とCeperleyは話す。

「当社のプラットフォームは、宇宙データを必要とする企業のシステムの基盤となる。企業はLeoLabsのシステム上にアプリケーションを構築し、個別の市場のニーズを満たしていく。我々は新たな宇宙ビジネスのエコシステムのベースを築いていく」

編集=上田裕資

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