GSG日本国内諮問委員会と一般財団法人社会的投資推進財団(SIIF)が2019年9月6日に開催した「社会的インパクト投資フォーラム2019」のパネルセッションに登壇したGIIN (Global Impact Investing Network)のCEO/共同創立者 、アミット・ボウリ氏はイノバティブファイナンス(革新的資金調達)の歴史を振り返ってこう語った。世界の投資家を中心に、ビジネスの観点からイノバティブファイナンスへの新たな取り組みが加速している。
アミット氏がCEOを務めるGIINは2009年、金融の役割を見直し、グローバルな社会環境課題解決に資するものとするため、ロックフェラー財団を中心とした20人の投資家たちによって設立された。現在は6大陸300以上の投資家、銀行、財団、政府系投資家、開発金融などが関わっている。
彼らをつないでいるのは「金融の力でSDGs達成に貢献する」という信念だ。2030年にSDGsを達成するために公的資金だけでは年間5~7兆ドルが不足すると指摘されている。そのファインナンス・ギャップを解消するために生まれたのが社会的インパクト投資を含めたイノバティブファイナンスの市場だ。彼らの活動とともに、民間資金を社会課題解決に呼び込む手法はこの10年間で大きく飛躍してきた。
GIIN アミット・ボウリ氏
イノバティブファイナンスの中でも新たな資金調達手法として注目されているのが官民連携型のブレンディッド・ファイナンス。政府系の公的資金、慈善基金、民間資金などさまざまなステークホルダーを組み合わせることでリスクを分散し、公的資金を使って新たな民間資金を呼び込むことができる。
たとえば、途上国に再生エネルギーを普及させるためのファンド「Climate Investor One」もその一つ。発展途上国で再エネのインフラを開発する資金を調達するため、オランダ開発金融公庫などの政府系資金のほか、民間のアセットマネジメントなどを含めたスキームを作り、8.5億ドルの資金調達に成功したと報じられた。