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アップルTVのコンテンツにも検閲か

サウスチャイナ・モーニング・ポストは、アップルが今回のアプリ削除に限らず、過去に何度も中国政府の圧力に屈してきたことを報じている。同紙は、その一例として「iOS13」の最新版では台湾国旗の絵文字が削除されたことを挙げている。

アップルは、台湾や法輪功、反体制派、独裁国家、独立、人権など中国政府を不快にさせる言葉や表現を避け、中国政府が許容しない欧米のニュースやギャンブル、VPNなどのアプリを中国のアプリストアから削除するなど、中国政府の検閲に協力しているという。

iBooksやiTunesの映画にも制約を設けていることに加え、iCloudに関しては中国人ユーザーが中国国内で使用する場合、国内のサイバーセキュリティ規制を遵守することを求め、政府がアクセスを求めた場合にはそれに応じる姿勢を示している。

HKマップ ライブ問題が起きて以降、メディア各社はアップルの過去の対応を報じ、同社が次のどのような行動に出るかを注視していた。アップルはすぐに行動に出たが、その内容はメディアが予想しないものだった。バズフィードは、アップルが新たにリリースする「Apple TV+」のコンテンツ制作者に対して、「中国を卑しめる描写は控えるように」との通達を出したと報じた。

バズフィードによると、通達を出したのはインターネットソフトウェア・サービス担当の上級副社長エディ・キューと、国際コンテンツ開発の責任者、モーガン・ワンデルだという。これに対し、アップルは何もコメントしていない。

米中の“テクノロジー冷戦”は、アップルにとって大きなリスクとなっている。同社にとって中国は500億ドルを稼ぐ大市場である上、ハードウェア製造の主要拠点でもある。

これまでもアップルと中国政府の関係はニュースを賑わせてきた。2017年には米国議員がアップルに対し、中国のアプリストアからVPNアプリを取り下げたことに対する説明を求めた。また、数週間前に起きたウイグル族のiOSデバイスを標的にしたハッキング攻撃では、背後に中国政府がいる可能性を指摘しなかった。こうしたアップルの行動がニュースの見出しを飾る状況はしばらく続きそうだが、それは同社のPR戦略にとって悪夢のような事態だ。

浮上する新たな「中国リスク」

今後、アップルが中国政府と徐々に距離を置くことが予想される。また、同社は米政府による中国製品への追加課税や、中国でビジネを行うスリスクを避けるため、製造拠点をアジアの他の地域に移転すること検討しているとされる。米政府がファーウェイに制裁を科したことを受け、中国政府が対抗措置を取る可能性も指摘されている。

これまで、マイクロソフトやグーグルも中国進出においてテクノロジーの自由化を犠牲にしていると批判されてきた。アップルは、他社以上に規範遵守を重視している企業であり、中国政府の圧力に屈し続けることは評価を落とすことにつながる。

東西の亀裂が拡大する中、アップルにとって中国との関わりはチャンスからリスクへと急速に変わりつつある。アップルは自社の対応を弁護しているが、本社では緊急対応策を練っていることだろう。

編集=上田裕資

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