NY在住の製作者が見る「エンタメ・アート・カルチャー」


今回の作品『Breathe with Me』は、全ての人に共通する“呼吸(Breathe)”に焦点を当てている。

作者のイェペ・ハインは、10年前に燃え尽き症候群を発症。それ以降、自分の息をコントロールして呼吸を正常に保つため、水彩画を続けていた。フランスの展示会にてハインとキュレーションを手がけたファウスコーが、「SDGsとは、綺麗な水、空気、食料、安全、権利、など持続可能な社会を目指すみんなのゴールだ」と語った時、ハインが「何をすればいいか分かった」と閃き、今回の展示につながったという。


Breathe with Me at United Nations Headquarters, an art project by Jeppe Hein and ART 2030. (c)Jeppe Hein, Photos by Jan Strempel. Courtesy of the artist and ART 2030.

このプロジェクトについてはハインは、「人生は息を吸うことから始まり、息を吐いて最期を迎えます。その間、我々は呼吸しながら、それぞれ違う人生を歩みます。それでも、同じ空気を共有しているということで、私たちはつながっているのです」と説明する。

ニューヨークでも多くの人の足を止めていたこのプロジェクトは、世界のリーダーから市民まで、誰もが色々な形で参加できるのも特徴だ。ウェブサイトには、『Breathe with Me』の教材やインスピレーショナル・マニュアルも用意されている。

「呼吸は全ての基本なので、世界中の人たちが参加できる形でインスピレーションを与えたいと思ったんです」とファウスコー。プロジェクトは、美術館やギャラリー、学校でのワークショップとして、ケニヤやスペインなど世界各地で展開されているが、「グリーンランドの氷山に描くなど、さらに多くの場所にこのプロジェクトを持っていきたい。」というのがファウスコーの野望だ。

「今回の展示のようにキャンバスや青いペンキがなくてもいい。砂に息を吹きかけて描くこともできます」


Breathe with Me in Central Park, an art project by Jeppe Hein and ART 2030. (c)Jeppe Hein, Photos by Jan Strempel. Courtesy of the artist and ART 2030.

アートの力で明日を良くする

アートとSDGsの架け橋となっている『ART 2030』は、その活動のひとつとして、世界の美術館やアーティストに環境をテーマにした作品をSNSへ投稿するように働きかけてもいる。例えばイギリスのテート美術館がコレクションの貯蔵作品を投稿したように、すでに多くの関係者も動いている。

今回ニューヨークでは、パワフルな影響力をもつガゴシアン、ペース、デービッド・ツビルナー、ハウザー&ワース、リッソン・ギャラリーの協力のもと、『ART 2030』の一環として同じテーマのパネルディスカッションも行われた。

文=Ikumi

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