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未踏事業の特徴は、審査書類のハードルの高さ。審査書類には、開発したいテーマや具体的な進め方と予算、ソフトウェア作成以外の特技や趣味にいたるまで、8項目についてA4用紙8枚ほどの分量をびっしり書き込む。その書類をもとに、大学教授や企業のCEOなど6人のPMが審査する。

偏差値のような定量的な基準があるわけではない。6人のPM、そして竹内が一人ひとりの資料に目を通し、将来性を感じる人物を選抜することで優秀で意欲のあるクリエイターだけが採択されることになる。

才能を植物に例えるならば、芽を摘まない、踏み潰さないことも必要だ。

竹内は「未踏事業には出る杭を打たない風土が根付いている」と話す。そこで例に挙げたのが、09年に未踏事業のスーパークリエイターとして認定された、メディアアーティストの落合陽一だ。

「彼は当時から本当に面白かった。技術力はもちろん、人文科学方面の能力もずば抜けていました。でも人々からは態度や言動が生意気、理解不能だと思われていることもあった」

だからこそ竹内は、せめて未踏事業では落合の好きにやらせてあげようと決めた。提出した研究テーマ以外のことに没頭していても容認し、応援した。同期も落合の才能を認め、素直に「すごい」と讃えた。

突出した同期がいると、ほかの採択メンバーも「自分ももっとがんばろう」「そんな発想があったのか」と刺激を受ける。この効果は未踏事業のポイントのひとつだ。

「才能を持った人材が集まり、刺激を与えあって切磋琢磨する。これが一番人を成長させる」と竹内は言う。PMやOB・OGの縦のつながりと、同期同士の横のつながり。これらの相互作用により、未踏事業の人材は採択から成果発表までの9カ月でぐっと成長し、その後もあらゆる分野で活躍し続けている。

するのは「応援」だけ

「つながり」に関しては、学生クリエイターを支援するクマ財団も注力する。交流会や合宿を定期的に設け、同期との交流を図っている。

クマ財団とは、コロプラの代表である馬場功淳が立ち上げた財団。クマ財団は今年で3期目を迎え、映画監督やアニメーター、作曲家、画家、建築家、メディアアーティスト、ロボットエンジニアなど幅広いクリエイターを奨学生として採択している。

文=崎谷実穂|イラスト=Megapont

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