ビジネス

2019.10.21

飲み会は年400回 よんなな会代表が「人を繋ぐこと」にこだわる理由

よんなな会の発起人 脇雅昭

利益向上、市場拡大、株価上昇と、目に見える成果を追い駆けることばかりが必ずしも「正解」として求められることがなくなってきた昨今。これからの組織、そして私たち個人の在り方はどう変わっていくのだろうか?

そのヒントを探るべく、日本の酒蔵の多様性を継承することを目的に、ユニークな事業展開を進める「ナオライ」のメンバーが、これからの社会を創るキーパーソン、「醸し人」に迫る連続インタビュー。

第7回は、総務省に在籍し、現在は神奈川県庁に出向する傍ら、国家公務員や全国の自治体職員を集めたコミュニティ「よんなな会」を主宰する脇雅昭さん。

県庁では部長を兼務し、また総務省入省後に司法試験に合格するなど多彩な経歴や実績を持ちながら、その底抜けの明るさと「人たらし」なキャラクターが多くの人々を惹きつけて止まない。

今日では5000人を超える規模にまで拡がったよんなな会での活動を軸に、「笑顔を広げる場づくり」について、ナオライの三宅紘一郎が多方面から話を聞いた。


──未来創生担当部長、そして政策調整担当部長として神奈川県庁に勤務されながら、よんなな会を主宰されていますね。

よんなな会は、47都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚を繋げることを目的に始めたコミュニティです。年に3回程開催する大きなイベントには、毎回500人以上の公務員が集い、官民問わず志を持って活躍している方の講演を聴いたり、横の繋がりをつくったりしています。これまでに累計5000人を超える方々に参加していただきました。

よんなな会を通じて、全国各地の想いを持った公務員にスポットを当てることで、その活動を後押ししたり、笑顔を増やしたりしていきたいと思っています。たくさんの頑張っている人と出会えることが、僕自身の楽しみでもあるのです。

これら大会の他に、このコミュニティを育てるために、数人から30人規模の飲み会を年に400回開催しています。こういった小さな規模の場が、官民の縦横斜めのネットワークをつくるうえで重要な役割を果たしてくれるのです。私もこのような場が大好きで、毎回ワクワクしながらセッティングしています。



──その「場づくり」についてですが、場をほぐすために、何か工夫されていることはありますか?

徹底して「他己紹介」をします。例えば、僕には水泳で世界第2位になった友人がいますが、彼が自らそのエピソードを話すより、第三者の僕が「彼は素晴らしいスイマーなんですよ! 陰ではとても努力していて、尊敬しているんです」と紹介するほうが、会の人間は彼の実績や努力を素直に受け取ることができる。

それと、飲み会であっても、メンバーは事前に公表しません。どんな人が来るのと訊かれた時は、「僕の好きな人たちです」とだけ答えるようにしています(笑)。思いがけない出会いの掛け合わせこそが、イノベーションの種になるし、これまでの自分にない価値観に気がつくキッカケになります。

最初の頃は、僕が引き合わせ役を担おうと思っていたのですが、最近はそれすらもおこがましい気がしています。だって、僕は三宅さんの一部しか知らないわけです。それなのに、三宅さんを誰かと繋げられたらと考えるのは、結局、僕から見えている小さな世界の中だけの話なんです。

だから、最近は、めいめい思いを持つ人を集めて場をつくるだけ。人こそが最高のコンテンツなので、余計な創意工夫は不要。場と思いを持つ人さえ揃えば、勝手に物事は進みます。

実際、よんなな会を通じて出会った方たちが、次々と面白いことを始めたり、新しい仕事を生み出したりし始めています。多くの「人×人」の化学反応が起きて、まったく想像もつかないような新しいプロジェクトが生み出されることに嬉しさを感じています。
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監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=藤井さおり

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