──今では公務員に限らず、いろいろな業種の人々がよんなな会に携わり、派生する会もたくさん結成されていると聞きました。
よんなな会は、僕の時間と思いをたっぷりかけてつくり込んできた場です。だから、似たようなイベントやコミュニティづくりを各地域でやる時に、「よんなな会」という冠を使いたいと言われても、正直、最初は気が進みませんでした。コンセプトをあまり理解していない人に使われるとブランドの毀損になるなって(笑)。
でも、今では考え方がまったく変わりました。誰も知らないよんなな会を公務員だけで大事に囲うより、官民問わず思いのある人に解放してどんどん使ってもらう方が良い。使い倒されて初めて世の中に広がり、その先に価値が生まれるんじゃないかと思うようになりました。
以来、全国に活動が拡がって、去年だけでも75回もの「よんなな◯◯会」の開催が実現しました。いまではいろいろな輪ができて、「よんななお坊さん会」や「よんななスポーツ会」、家業を継ぐ人の集まりの「よんなな家業会」なんかもあります。
──よんなな会が拡大するなかで、見えてきた課題や自分のなかで変えてきたことなどはありますか?
これまでは意識的に「小さなお節介」を仕掛けていました。お節介が入ることで、初対面の人同士が話すきっかけができる。大人になって身につけた「肩書」という鎧が、誰かに会うきっかけを作ると同時に、仲良くなることを妨げてしまっている感じがするんです。だから、そうした枷を取り除いて繋げる役が、コミュニティを活性化させるうえで大事だと思っていたんです。
でも、最近、先頭を切って仲介役を引き受けることを止めました。役割を固定してしまうと、本来は皆で協力し合うべきことでも、役割外だと介入しなくなることに気づいたんです。
よんなな会のイベントでも、ひとりポツンとしている人に気づいていながら、皆が声をかけないのは「お節介を焼く役割の人」がいるからでした。気づいた人が行動に移すことが大事なのに、自然にそうさせない仕組みをつくっていました。1人ひとりが気づいた範囲で、自然とつなぐ仲介役という役割を担ってくれるのが理想です。
よんなな会発足の原点は「全国の公務員を笑顔にしたい」という思い。でも、その場に参加している500人だけが笑顔になれば良いのではなく、彼らと一緒に周りを笑顔にしていかないと、結局閉じたコミュニティになってしまうんですよね。
──誰もがお節介を焼き合える場にしていきたいということですね。
そうです。スタッフが参加者を「お客さま」として扱う場は、なんか違うなとは感じていたのです。そうではなく、「どうしたら、参加者全員がコミュニティづくりに主体的になれるのか。周りの人たちを笑顔にし合える仲間になれるのか」を、これからは突き詰めて考えていきたいと思いました。