ビジネス

2019.10.21

飲み会は年400回 よんなな会代表が「人を繋ぐこと」にこだわる理由

よんなな会の発起人 脇雅昭


──よんなな会というプライベートの場と仕事が繋がる部分はあるのですか?

めちゃくちゃあります! 行政のミッションである社会課題の解決は、従来の行政のやり方に留まらず、テクノロジーやコミュニティなどさまざまな力を使って実現できるはずです。新たな方法を模索し続けているなかで、徐々に仕事とよんなな会での活動がクロスし始めてきました。

例えば神奈川県では、今後4年間の政策を、「コミュニティ再生・活性化による笑いあふれる100歳時代」として打ち出しました。いろいろな場所でコミュニティが活性化すると、それに比例していろんな人が笑顔になる。そんなコミュニティの持つ力を示していきたいのです。

──コミュニティや笑顔という、一見抽象的なことに価値を置く政策は珍しいですね。数値化や言語化しづらいことは、軽くあしらわれることもあると思いますが。

よくわからないことの先には、何かが生まれているんですよね。そこに行政や人の力をいかに繋げるかということを考えています。だから、「どこに向かっているの?」と訊かれることも多いのですが、その度に「笑顔ですね」と答えています(笑)。

行政の仕事は税金を使って進めるので、明確な数値に基づく、論理的な説明責任が問われます。一方、そのデータから人々の喜びや悲しみがすべて読み取れるのかというと、けっしてそうではない。だからこそ、測りきれない部分にもしっかりと向き合い、笑顔を追求していきたいと思うのです。



──正直、公務員の個人の思いや主張を尊重したいと思いながらも、それを実行しづらい空気感があるのではないでしょうか?

そういう声を聞くこともあります。でも、新入社員の子が理想とのギャップに悩んでいると相談してくれた時などは、「モヤモヤするなんて、すごいじゃないか。なんて良い感性を持っているんだ。お前は可能性の塊だ!」と話すのです(笑)。モヤモヤするのは現状の自分となりたい自分との間にギャップがあることを認識できているからで、本当に怖いのは、その人がモヤモヤしなくなった時です。

課題をただ課題と捉えるより、どうしたら価値に転換できるかを問い続けることが大切なのだと思います。

公務員も世の中を良くしようと思う人はいても、所属する組織にとっての当たり前から固定概念が形成されて、それに基づいた仕事をしてしまうことは多いのかもしれませんね。

自分が普段居る場所とは違う世界を見たり触れたりすることは、ポジティブなエネルギーになると思います。よんなな会では、そんな場や仲間づくりをしていきたいと思うんです。
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監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=藤井さおり

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