ビジネス

2019.10.15

インフルエンサーは「拡散装置」ではない。プロシューマーとして多面的に活用せよ

indaHashカントリーマネジャー、ビジネスデザイナー、マーケティング戦略アドバイザー 野村肇(写真=小田駿一)

「近い将来、インフルエンサーは『プロシューマー』としてとらえられるようになり、より本質的なインフルエンサーマーケティングが実現しますよ」

そう語るのは、ポーランド発のインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「indaHash」(インダハッシュ)のカントリーマネジャー、野村肇だ。

インダハッシュは世界90カ国で95万人以上のインフルエンサーが登録し、グローバル企業などのキャンペーンに対し、インフルエンサーの起用からキャンペーンマネジメント、レポーティングも含めて一元的に担う、いわば「影響力」を熟知した世界的プラットフォームである。国内でも2万人のインフルエンサーが登録。インフルエンサーマーケティングの決済効率化を目的に、独自のトークン「IDH」(インダハッシュ・コイン)も発行している。


indaHash

その野村が言うインフルエンサーの未来像「プロシューマー」とは何か。

まずは、企業が抱きやすい「インフルエンサーマーケティングの誤解」からひもといていこう。

1. 企業はインフルエンサーの何を重視して起用すべきか? 

野村によると、少し前まではフォロワー数やリーチ数が重視されていた。しかし、この「数の呪縛」に対する発想の転換が必要だと言う。

「企業側は『一気に500万リーチを獲得するならこの人』という目安でインフルエンサーを起用していました。デジタルにもかかわらず、マスメディア的な指標が用いられていたのです。企業側は予算コントロールがしやすいため、まだまだリーチ発注のケースが多いのですが、最近は『エンゲージメントレート』が重視されるようになりました」

フォロワーのなかで、「いいね」やコメントなど何らかのエンゲージメントがなされた割合のことだ。500万人のフォロワーがいてエンゲージメントが5万、1%の人よりも、50万フォロワーで、エンゲージメントが5万ある人のほうが、エンゲージメントレートは10倍高い。そういうインフルエンサーを起用するほうが「共感されやすい」という事実は、徐々に認知されつつあるという。

実際、莫大なフォロワー数を抱え、マス的な人気を誇るインフルエンサーよりも、より絞られた層に影響力をもつインフルエンサーの投稿のほうが、エンゲージメントが得られる傾向にある。タレントよりも、知人の投稿のほうがより影響されやすい。レストランを探すときにネットで検索するよりも、信頼できる食通をフォローしていったほうが失敗がないのと同じだ。だからこそ、数百〜数万のフォロワーをもつマイクロインフルエンサーが重要になる。
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文=林亜季|写真=小田駿一

この記事は 「Forbes JAPAN 真のインフルエンサーとは何だ?」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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