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翻って、関東大会で大賞を受賞した協同商事。かつて地ビールとして展開していた「小江戸ビール」をリブランディングし、クラフトビール「COEDO」として再生させたことで知られる同社だが、今回の大会では新たな側面が見えてきた。それは、世界に向かって積極的な展開をしているだけでなく、地元での確固とした支持を得ていること。社長の朝霧は、プレゼンテーションでこう強調した。

「私はビールの伝道士を自負しています。ビールを製造、販売するだけでなく、いかに楽しむかを伝えていきたい。そのためにCOEDOで繋がっている人たちへの感謝を込めて、地元の川越で年に1度でコエドビール祭りを開催しています」

地元へのこだわりはビール祭りだけではない。川越氷川神社とkawagoe premium、COEODの3者でコラボしているイベント「恋あかり」は、今年で3年目になる。神社の灯りをぼんぼりにして、町へ持ち出して光を楽しむというイベントだが、その際には、川越市内の小売店や飲食店だけで販売される特製ビールを出荷している。

他にも「コエドビール学校」と呼ばれるCOEDOクラフトビール醸造所見学ツアーや、ブルワリーを一般開放しての「COEDO花見-Hanami-」も例年開催している。そのなかで交わされる地元の消費者からの声がまた職人たちの手づくりでつくられるクラフトビールに反映されていくのだ。

ひとつの企業だけではなく、地域の人々との協働や連携でスモール・ジャイアンツが生まれていく過程を、このCOEDOビール=協同商事の存在が裏付けている。小さいが故の地域での強固な繋がり、これがジャイアンツとなっていくための原動力ともなっているのだ。もちろんグローバルという方向は間違いではないが、まず地元があってのスモール・ジャイアンツであることを示している。

これからは、スモール・ジャイアンツの要件には、「グローバル」「革新性」「優れた戦略性」「地域発新ビジネス」に加えて、新たに「地方での連携力」も重要であると考えなければいけないかもしれない。

なお、「Forbes JAPAN SMALL GIANTS AWARD 2019-2020」関東大会で各賞の受賞は以下の通り。

大賞:協同商事(埼玉県川越市)


協同商事 朝霧重治 代表取締役社長

世界20カ国で愛飲される「COEDO」ビールを製造、販売。国際的なビールコンテストでも数多くの賞を受賞し、日本国内ではクラフトビール市場の立ち上げを牽引した1社として知られている。朝霧重治社長は「大賞受賞は驚きました。これから100年続いていくような企業でありたい。そのために一歩ずつ丁寧にやっていきたい」と受賞の喜びを語った。

グローカル賞:サンクゼール(長野県上水内郡飯綱町)


サンクゼール 久世良太 代表取締役社長

りんごのワイン「シードル」となど自社商品の製造、販売に加えて、味噌や醤油といった食品類を扱う「久世福商店」を80店鋪運営。全国各地の隠れた名産を発掘して、店頭に並べる感動伝道企業。アメリカにも進出して、日本の地方発の食材を海外にも広めている。

文=Forbes JAPAN編集部 写真=大星直輝

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