「お祈りメール」文化に終止符を。現役大学生が描く、新しい就職活動のカタチ

Shutterstock


「私自身、大学三年生で就職活動を一部経験してきました。新卒採用は中途採用と違ってポテンシャル採用の要素が強いです。自分のこれまでの経験や価値観、将来のやりたいことをプレゼンします。

その結果、多くの学生に送られてくるのがあの無機質で冷徹なお祈りメールです。自分のどこが悪かったのか、フィードバックすらもらえない中、どんな気持ちになると思いますか? 自分の今までやってきたこと、価値観、将来の夢を否定された気持ちになります。

平成23年のデータですが、大学生の年間自殺者数は1000人を超え、そのうち150人が何百件ものお祈りメールにより精神的に追い込まれ自殺する、いわゆる就活自殺だと発表されました。私は1970年代からずっと存在し、多くの学生を苦しみ傷つけてきたお祈りメール文化に終止符を打ちたいと思い、今回HRportを開発しています」(森)

学生と企業の出会いの可能性を最大化させたい

そんな思いから立ち上げたHRrortは、自社とアンマッチだった求職者を会社間で推薦し合えるプラットフォーム。導入企業は従来のお祈りメールのように、一方的に学生に不採用結果を伝えて関係性を切るのではなく、HRport上で厳選された他社企業に推薦させてもらえないか、とオファーが出せるようになっている。企業が面談で得た所感や推薦文を投稿することで、学生は他社からスカウトを受け取りやすくなる、という仕組みだ。



推薦を行う会社は、応募者と面接後も良好な関係を構築でき、さらに「学生に寄り添ってくれた感謝の気持ち」として、内定が承諾されたら、HRportからお礼金が支払われる。

「HRportを通じて、祈られて終わるだけの就活がなくなります。企業が自社でアンマッチだった人材に対して、リファレンスや選考のフィードバックを記載することで、学生は他社からオファーを受け取りやすくなる。また、学生がどの会社の選考を受け、何次面談まで進んだかといった選考データを提供しオファーを受けやすくすることで、人事担当者は運用工数ほぼゼロで、学生の就職活動をサポートできます。

HRportが普及することで学生はフィードバックを目的にリファレンスを書く会社に応募をするようになり、結果的に学生に親身に寄り添う会社の知名度が向上し、最終的により多くの学生を採用することができるようになります」(森)

現在、HRportは採用担当者および学生向けにサービスの事前登録を行っている。まだ模索中の段階だが、将来的には第二新卒・中途領域への進出も考えているという。

「しばらくの間は、どのようにすれば人事が最小限の工数で最も学生の今後の活躍に貢献できるかを、ベータ版を通して仮説検証していきたいと考えています。最終的に全ての祈るだけのお祈りメールを無くし、学生と企業の出会いの可能性を最大化させたいです」(森)

文=新國翔大

ForbesBrandVoice

人気記事