米国経済学会(AEA)が先月発表した新たな報告書では、経済学者の職業に広く普及している有害な男性中心主義が、男性優位主義で人種差別的な考え方から生じる政策決定と同様、自己強化されていることが明らかになっている。
同調査では「女性は経済学の分野で評価されている、社会的に包摂されていると感じることが(男性と比べて)非常に少なく、経済学の分野で差別を経験する確率がはるかに高い」と述べている。
また経済学の分野では、セクシュアルハラスメントがまん延していることも示された。
報告書によると、女性回答者の23%が過去10年の間に、他の経済学者や経済学の学生から交際や恋愛・性的関係などを(最大限抑止しようとしたにもかかわらず)求められたと報告している。また、6%は性的暴行を受けそうになったことがあり、2%は性的暴行を実際に受けたと報告している。さらに13%の女性は、その他の形の身体的接触があり不快に感じたと答えた。
また、調査の自由回答型の質問からは、経済学の分野では女性があらゆる形で阻害され得ることが示された。
ある女性経済学者は「経済学は非常に男性中心的な分野で、女性は阻害されているように感じてしまう。共同著者を得ることと社会交流の場面では特にそうだ」と述べている。
彼女は「この分野でのコネの重要性、また社会規範が主に男性により形成された分野で女性がつながりを築く際には追加の障壁に直面することを受け、女性のネットワーキング(人脈作り)、あるいは調査記録さえも異なる方法で評価することが重要だと思う」と続けた。
また他の女性は「経済学は男性優位の分野であり、男性研究者や編集者、審査員が多いため、経済学分野の方向性は、男性が大事だと考えることに基づいて設定されていると感じる。どの研究テーマが興味深いか、発表する価値がどの論文にあるか、誰がこの職業にとどまるかを男性が決めている」と語った。
同報告書はまた、研究について議論する際に意見を横取りされたり無視されたりしていると感じている女性が多いと補足。「男性が話を遮る、女性の発言に横入りする、女性がついさっきした発言を繰り返してそれを自分の手柄にする、女性のコメントを隅に追いやる」といったことがあると報告書は述べている。
またその他の懸念として、黒人経済学者が非常に少ないことも挙げられた。ある回答者は「自分のような見た目の人がリーダーシップの地位や上級職にいなければ、そこに所属することが期待できない」と答えている。
また、外国人の経済学者も同様に避けられていると感じていた。ある回答者は「私は母語が英語ではないため、個人的にとても頻繁に差別を経験する」と述べた。