稲木ジョージ、32歳。より必要とされるPRパーソンとしての感性、オリジナリティを追求する中で、ある意味必然ともいえる新境地に、いま挑んでいる。
ジュエリーブランド「MILAMORE」設立
今年4月、知人の投資家で、家族が宝石商を営む大和梓とともに、ジュエリーブランド「MILAMORE」(ミラモア)を立ち上げた。クリエイティブ・ディレクターとしてコンセプトからデザイン、PR、グローバルビジネス開拓を手がける。
現在、東京・南青山で1年間のポップアップストアを開いている。早くも国内外のファッション誌に取り上げられ、注目を集める。
大学卒業後、アメリカンアパレルのアルバイト店員からPRという仕事に出会い、渋谷店を売上世界一に導いて以降、そのクリエイティビティと行動力を武器に数々のラグジュアリーブランドのPRを担ってきた。
なぜジョージは自らジュエリーブランドを立ち上げたのか。
ブランド名はジョージを育ててくれた祖母の名前、Milagros(ミラグロス)と、Amore(アモーレ、イタリア語で「愛」)の単語を組み合わせた。
「MILAMORE」のジュエリーは「Design in New York, Handcrafted in Japan.」。多様なバックグラウンドを持ち、日米欧を股に掛け常に最新のファッションを追いかけてきたジョージがNYで生み出すデザインと、日本のクラフトマンシップを組み合わせた。
モデルは実は男性。ボーダレス、ジェンダーレスを表現した(MILAMORE提供)
ゴールドやダイヤモンドやエメラルドなどの素材をふんだんに使った、ユニセックスで身に着けられるデザイン。「デュオチェーン」はイエローゴールドとホワイトゴールドのコンビのチェーンで、ネックレスにもブレスレットにもできる。「人種も文化もミックスする方が個性があっていいという考え方です」と、ジョージ。チェーンには自由にチャームをつけ、カスタマイズを楽しむことができる。
鶴や亀や金魚など、随所に日本を感じられるようなモチーフを使う(MILAMORE提供)
「金継ぎ」をイメージしたリングやバングルのコレクションも人気だ。「どんな人でも必ずコンプレックスや失敗があるからね。『壊れた自分も愛しましょう』。そんな思いでつくりました」。
キンツギリング。ダイヤモンドのカットも独特だ(MILAMORE)
ロゴに頼るのではなく、それぞれのデザインやモチーフに、つい人に話したくなるストーリーを込めているところが、SNS時代の新たなブランドのあり方を象徴している。ファッションは語られるもの、シェアされるものなのだ。