人類による二酸化炭素排出量は「火山の100倍」であると判明

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大気中の二酸化炭素の最大の排出源は人類の活動であることが、学術誌「エレメンツ」に掲載された論文で明らかになった。

この研究は各国の科学者500人以上が参加した国際共同研究機関「深部炭素観測(ディープ・カーボン・オブザーバトリー、DCO)」によるもので、10年に及ぶ調査結果を分析した。

地球には18.5億ギガトンの炭素が存在しており、その99.8%は地殻とマントルや核に貯蔵されている。そして、残りの0.2%を占める4万3500ギガトンが海洋や陸地、大気に含まれている。炭素は岩石や海、生物の間を絶えず循環している。多くの海洋生物が炭素から骨や殻を作っているが、海洋生物が死ぬと海底に沈んで炭素質堆積物となり、マントルに吸収される。

堆積物に含まれる二酸化炭素は火山の噴火によって大気内に再び放出される。過去5億年の間、地球における炭素循環はバランスが保たれ、放出された二酸化炭素と同じ量が地中に返って行った。

今回の研究では、地球上の主要な火山地域を調査し、そこから放出される二酸化炭素量を測定した。陸上と海底の火山帯は年間で0.3〜0.4ギガトンの二酸化炭素を放出している。地球上で最も多くの二酸化炭素を放出する自然現象は火山活動だ。

しかし、人類が1年間に排出する二酸化炭素量は2018年だけで37ギガトンを超えたという。人間が排出する二酸化炭素の量は、火山の約100倍にも達しているのだ。過去100年の平均では年間10ギガトンだったが、1960年以降は年間15ギガトンに増加し、近年はさらに上昇が続いている。

気候変動を否定する人々は、大気中の二酸化炭素量が増えた原因が火山活動だとしているが、それは大きな誤りだ。人類の活動による二酸化炭素排出量は、火山のそれを遥かに上回っている。

編集=上田裕資

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