企業のデジタル対応を支援するユニコーン企業、WalkMeの躍進

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かつて、セールスマンには顧客を口説くスキルが求められた。しかし、今日ではテクノロジーに精通していることが優れたセールスマンの必須条件だ。デルモンテのチーフ・インフォーメーション・オフィサーのChad Andersonによると、同社の従業員は日常業務で15〜30ものソフトウェアを使いこなしているという。

先輩社員は長い時間を掛けて新入にソフトウェアの操作方法を教える必要があるが、これは企業にとって莫大なコストとなる。フォーブスのクラウド業界の優良企業リスト「クラウド100」に選出されたスタートアップ「WalkMe」は、こうした企業の課題を解決するサービスを提供する。

同社のプラットフォームは、ソフトウェアの使い方をステップごとに分かりやすく解説する。WalkMeのCEO、Dan Adikaは、自社を「デジタル版の登山ガイド」と説明する。

「GPSを使えばA地点からB地点まで難なく行くことができるが、ソフトウェアを使いこなすためには、説明動画を見なければならない」とAdikaは話す。

デルモンテは、最近WalkMeを導入した企業の1つだ。Andersonによると、同社の社員はWalkMeがまるで心を読むように技術的な問題を解決してくれると高く評価しているという。WalkMeの売上は1億ドルを突破する見込みだ。

WalkMeは、これまでに累計2億1750万ドル(約233億円)を調達している。昨年9月に実施したシリーズFラウンドでは4000万ドルを調達し、評価額は10億ドルに達した。

同社の取締役でScale Venture PartnersのRory O’Driscollによると、WalkMeは企業が導入しているあらゆるソフトウェアに対応しており、投資先として非常に魅力的だという。

WalkMeのサービスは、企業が導入した複雑なソフトウェアを従業員が使いこなすことができるようにする、「デジタルアダプション(デジタル技術の活用促進)」という新たな領域に属する。このカテゴリは、最近ガートナーが発表したレポートに新たに追加された。

レポートを執筆したMelissa Hilbertによると、この市場は若いが企業のニーズは大きく、多くのスタートアップが参入している。「従業員の効率性と生産性はまだ改善の余地があり、企業は収益と時間を損なっているのが実情だ」とHilbertは話す。

WalkMeの競合には、顧客データを用いてプロダクトデザイナーがよりユーザーフレンドリーなインターフェースを開発する支援を行うPendoもあるが、WalkMeの優位性は当面揺るがない見通しだ。

ガートナーのHilbertによると、Pendoのプロダクト主導型のアプローチも成長しているが、WalkMeが提供する従業員トレーニングは顧客ベースを急拡大させているという。

「ライバルの中には良質なサービスを提供している企業もある。しかし、当社は競合が増えたほうが自社の優れた点をアピール可能になると考えている」とAdikaは語った。

編集=上田裕資

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