米国が中国「顔認証ユニコーン」3社の禁輸措置に踏み切る理由

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米中の「AI戦争」の始まり

これらの企業は、中国国内に強固な基盤を持っていながら、収益の多くを輸出に依存している。米政府は人権侵害を声高に主張しているが、背景には米中間の貿易問題やAIを巡る熾烈な競争があることは明らかだ。このまま中国企業にAI監視技術を自由に開発させていては、欧米企業がAI戦争で中国に敗退する。

今回の米国の措置が今後及ぼす影響を、正確に見通すことは難しい。AIソフトウェアは、米国製のハードウェアやソフトウェアに対する依存が比較的小さいが、米国の企業や調査機関との協業がなくなることの影響は小さくない。

また、企業の評判が傷つくことによる輸出額の減少も考えられる。各国の政府や企業は、米政府から人権侵害によって制裁を受けた企業との取引きを敬遠するだろう。

AI分野のユニコーンを標的とする今回の米国の措置は、中国に大きな打撃を与えるだろう。米政府は、ブラックリストの追加は貿易問題とは無関係だとしているが、今後の交渉に影響が及ぶことは避けられない。

ウィルバー・ロス商務長官は、「米政府と商務省は、中国における少数民族に対する容赦ない弾圧を許さない」と述べている。

情報開示:筆者が運営する企業Digital BarriersはAIアナリティクス及び、監視テクノロジーを開発している。現状、中国では製品を販売していないが、他国において中国の企業と競合することはしばしばある。

編集=上田裕資

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