米国人の50%が「大不況の到来が近い」と予想、保険会社調査

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経済成長の減速や地政学的な懸念の広がり、さらに長引く米中の貿易摩擦により、今後の景気見通しを悲観する米国人が増加中であることが、保険会社アリアンツのレポートで示された。

アリアンツによると米国人の50%が大規模な不況が目前に迫っていると予想している。この数値は今年前半の46%から上昇した。また、現在が投資に適した時期であると考える人の割合も、年初の40%から35%に減少した。

世代別に見ると最も悲観的なのはミレニアル世代で、56%が大不況を懸念していると回答した。この数値はジェネレーションX(1960〜70年頃生まれ)では51%、ベビーブーマー世代(1945 – 64年頃生まれ)では46%だった。

一方で、ミレニアルは市場の変動の激しさを前向に捉える傾向も見られ、47%がこの状況でも投資を行うと回答した。この比率はベビーブーマーの間ではわずか17%だった。

アリアンツ生命保険のマーケット部門のKelly LaVigneは「ミレニアル世代は景気後退を懸念する一方で、状況を冷静に捉えている。これは、彼らが不況で損失を抱えても、それを取り戻す時間があるからだ」と述べた。

景気後退への懸念はまた、リタイア後の資金を金融商品で保有しようとする人々の割合も低下させた。この比率は前四半期には72%だったが、直近では66%まで低下した。

10月初旬から株式市場には前四半期を上回る規模の変動が訪れた。米中の貿易交渉の先行きが楽観できない中で、景気後退への懸念はさらに強まっている。そこに追い打ちをかけるのが、今年5月から続いている「逆イールド」現象だ。

逆イールドとは、満期までの期間が長い債券の利回りが、短い債券の利回りよりも低くなることを意味し、不況の訪れのサインとされる。逆イールドに関する経済論文で知られるデューク大学のキャンベル・ハーヴェイ教授は、10月8日のCNBCのインタビュー記事で、「景気後退への準備を進めるべきだ」と述べた。

編集=上田裕資

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